冷たくなりがちなテキストコミュニケーションで感情をうまく表すコツ5つ

コラム

離れて働くにあたって欠かせない、テキストコミュニケーション。たとえば、こういうコツを見聞きしたことがある方は多いのではないでしょうか。

  • 結論から伝える
  • 主語と述語を離さず、修飾語は被修飾語とできるだけ近い位置に置く
  • 一文の長さを無駄に長くしない
  • 無意識な「曖昧表現」がないかチェックする
  • 記号や絵文字に頼りすぎない

これらもたしかに大切です。わかりやすい文章を書くことは、円滑なテキストコミュニケーションを実現するための重要なポイントの1つです。

しかし、こうしてとにかく端的な文章ばかりを追求してしまうと、どうしても感情や表情に関する情報も少なくなりがちです。その結果、意図せず殺伐とした冷たいやり取りを生んでしまう可能性もあります。

そこで今回は、殺伐とした空気をつくらないための「冷たくない感情を交えたテキストコミュニケーション」を実現するコツを5つご紹介します。

テキストコミュニケーションを冷たくせず、感情をうまく表す5つのコツ

  1. 相手へのお礼・理解・肯定・共感をまず明示的に示すようにする
  2. 口頭コミュニケーションらしい「あー」「おお」「うんうん」「えーっと」といった言葉も文字にする
  3. 「否定」だけせず「提案」もする
  4. 記号や顔文字・絵文字を活用する
  5. なんでもテキストで伝えようとはしないこと

コツ①相手へのお礼・理解・肯定・共感をまず明示的に示すようにする

たとえば他のメンバーから何か質問をもらったとき、冒頭で挙げたテキストコミュニケーションの鉄則に則るなら「回答から端的に述べる」のが正解かもしれません。

しかし、相手との関係性次第では、

  • 「ご質問ありがとうございます!」
  • 「〜〜ということですね」
  • 「〜〜についてはすごくいいなと思いました」

といったお礼や理解、肯定、共感の言葉をまずは明示するのも大切です。

テキストでややぶっきらぼうに「集約しています」「大丈夫です」といった形で要点だけ返事している例
「ご質問ありがとうございます!」などのお礼を明確に記して、やわらかいテキストで返信している例
Before → Afterの順。Beforeのほうが端的ではあるが、Afterのほうがよりやわらかい表現になっている

口頭での会話の場合は、表情などから「この人は敵じゃない、ちゃんと共感してくれているな」といった印象も伝わりやすいものです。しかし、テキストではこうした情報は明確に示さないと伝わらず、冷たい印象を与えることも多いです。

「くどいかな?」と多少感じるくらいが意外とちょうどいいシーンもあるかもしれません。

質問以外の場合でも、いきなり本題から入るのが果たして本当に正解かは、一呼吸置いて考えるとよいでしょう。

コツ②口頭コミュニケーションらしい「あー」「おお」「うんうん」「えーっと」といった言葉も文字にする

「あー」「うんうん」といった相槌の言葉、あるいは「えーっと」「おお」といった感動詞をあえて盛り込むのも、テキストコミュニケーションをやわらかくするのには効果的です。

こうした言葉はテキストにするとき、つい削ぎ落としてしまいがちです。

もちろん、正式な文書やフォーマルなやり取りの中では削るべき表現だとは思いますが、社内コミュニケーションなど近しい間柄の人とのやり取りでは、あえて口頭での会話らしいこうした表現も盛り込んでみるといいでしょう。

「あー、すみません」「おお、ありがとうございます」といったような口頭での会話のようなテキストのやりとりをしている例
「あー」「おお」「そうだ」など、口頭では自然に出てくるような言葉をテキストでもそのまま表現している

コツ③「否定」だけせず「提案」もする

何かしらの業務の内容等についてフィードバックする場合、単に真っ向から否定せず、「こっちの考え方のほうが"より良い"と思ったのですが、どうでしょうか?」といった提案型で伝えられないかを考えましょう。

「敵ではなく、一緒によりよい成果を成し遂げたいと考えている仲間である」と常に伝わることが理想です。提案が難しい場合でも、「なぜこの方向は良くないのか」の理由の説明を必ず添える努力をするようにしましょう。

もちろん、これは口頭の会話でも重要なポイントですが、表情が伝わりづらいテキストだからこそ、とくに意識したいポイントです。

「ここはこうなので、たとえばこう改善するとよさそう」という形で、否定だけでなく提案も含めてテキストで返信している様子
否定だけでなく、提案も合わせて伝えるようにしている

コツ④記号や顔文字・絵文字を活用する

感情やニュアンスをより正確に伝えるために「!」「(^-^)「😄」といった記号・顔文字・絵文字の適度な活用もおすすめです。

これもまた、フォーマルな文書ややり取りではあまり使わないものです。しかし、社内の軽いやり取りであれば、むしろこうしたものを活用してより受け止めやすい文章にするほうが、多くの場合、全員がハッピーになれることが多いはずです。

キントーン、オリジナルの絵文字入力画面
サイボウズ社内ではkintoneオリジナルの絵文字もよく使われている

コツ⑤なんでもテキストで伝えようとはしないこと

ここまでテキストコミュニケーションで感情を表す方法をいくつかご紹介しましたが、感情や表情で表されるような微妙なニュアンスの表現は、そもそもテキストコミュニケーションでは比較的難しいことも認識しておくとよいでしょう。

たとえば、「これはデリケートな話である」と事前に想定できる場合には、どう伝えるべきか、そもそもテキストで伝えて大丈夫そうか、一度考えてみることをおすすめします。

もちろん、あとから関係者以外でも読むことができたり、話の論理がより正確に伝わりやすかったりなど、テキストコミュニケーションならではの良さもあります。

そのため、「無理にすべてテキストで伝える必要はない」という前提は踏まえた上で、口頭コミュニケーションも含めて手段をうまく使い分けるようにしましょう。

また「使い分ける」だけでなく、下記のように「併用」するのも効果的です。

  • 口頭でいったん伝えたいことをすべて伝えて、後ほど「先ほど話した内容、テキストでも共有しておきます」と、テキストでもメモ程度で簡単に伝える
  • 逆にテキストでいったん伝えて、口頭でもその後補足を入れる
サイボウズのグループウェア、ガルーンのスケジュール画面と、そのコメント欄でのやり取り。予定の概要と、そこで口頭で話した内容がコメントでメモされている
サイボウズ社内でも口頭での軽い打ち合わせの予定をグループウェア(Garoon)で入れたのち、テキストで簡潔にメモを共有することで、口頭とテキストのそれぞれの良さを生かすことが多い

終わりに

テキストコミュニケーションを冷たくせず、感情をうまく表す5つのコツをご紹介しました。

  1. 相手へのお礼・理解・肯定・共感をまず明示的に示すようにする
  2. 口頭コミュニケーションらしい「あー」「おお」「うんうん」「えーっと」といった言葉も文字にする
  3. 「否定」だけせず「提案」もする
  4. 記号や顔文字・絵文字を活用する
  5. なんでもテキストで伝えようとはしないこと

しかし、ポイントはこれだけではありませんし、相手や状況によって、より良いとされる書き方も変わってきます。テキストコミュニケーションは、非常に奥が深い領域です。難しく感じる方もいるでしょう。

一方で、仕事でテキストコミュニケーションをうまく活用できるようになると、仕事の可能性は大きく広がります

  • あとからでも見返せるようになる
  • やり取りに直接関わっていない人でも、横から覗き見することができる
  • 口頭では曖昧になりがちな論理を厳密に確認するきっかけになる

などなど……。とくに働く場所がバラバラの時代には、高めて損がないスキルになってくるはずです。

本記事が、離れて働く皆さまのコミュニケーションの参考になりますと幸いです。

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