キングダムからONE PIECEへ──「問いかけ」と「対話」から始める、テレワーク時代のコミュニケーション

コラム

テレワークが普及してきた現状において「コミュニケーション」に悩んでいる方はいませんか? それを解決するヒントは「問いかけ」と「対話」にあるかもしれません。

以前より自由度の高い働き方を個人が選べるようになった一方で、全員が同じ場所で顔を合わせて働いていた頃よりも、コミュニケーションに課題を抱えている企業や人も増えています。

さまざまな働き方を選択できる「ハイブリッドワーク」では、なぜコミュニケーションがうまくいかないのか。どこに原因があるのか。どうすればミーティングや1on1などの話し合いの場をより良くできるのか。

そこで今回、組織における創造性やコミュニケーションを研究する安斎勇樹さんにお話しを伺いました。安斎さんは株式会社MIMIGURI Co-CEOであり、『問いのデザイン』『問いかけの作法』などコミュニケーションに関する書籍の著者でもあります。

コミュニケーション不全の原因はどこにあるのか? そんな問いを安斎さんにぶつけると、組織と個人の価値観の変容という壮大なテーマから話は始まりました。

ソファーに浅く腰掛けている、笑顔の安斎さん。

プロフィール:安斎勇樹

株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO。東京大学大学院 情報学環 特任助教。東京大学工学部卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。ウェブメディア「CULTIBASE」編集長。

企業経営と研究活動を往復しながら、人と組織の創造性を高めるファシリテーションの方法論について探究している。主な著書に『
問いのデザイン:創造的対話のファシリテーション』、『問いかけの作法:チームの魅力と才能を引き出す技術』、『リサーチ・ドリブン・イノベーション』、『ワークショップデザイン論』などがある。

記事まとめ

  • コミュニケーションがうまくいかない背景には、個人と組織の価値観のギャップがある
  • 多くの個人の価値観が自分を中心にしたキャリア観・人生観になっている(ONE PIECE的)
  • 一方で組織には旧態依然の軍事的な価値観が色濃く残っている(キングダム的)
  • コミュニケーション不全を解消する=個人を活かす手段として「問いかけ」と「対話」がある
  • 「問いかけ」はライト。相手のどこに当てるかで輝き方が変わる。ライトの当て方を間違えると逆効果となる。
  • 「対話」はただ話すだけの雑談ではない。対話は、共有→理解→創造の3ステップからなる。
  • 「対話」の前にメンバー同士の関係性を深めることも重要

個人の価値観は変わっているのに、組織は昔のまま

ーーコロナの影響でハイブリッドワークが普及するなど働き方が多様になりました。MIMIGURIさんの働き方に何か変化はありましたか?

コロナが流行して、すぐにフルリモートに移りました。今は出社もリモートも自由な「ハイブリッドワーク」ですけど、ほとんどのメンバーがフルリモートで働いてますね。

ーーMIMIGURIさんがハイブリッドワークにおけるコミュニケーションでどんな工夫をしているかは後ほど伺いたいのですが、「会話が減った」「オンラインミーティングが盛り上がらない」などのコミュニケーション課題に直面しているという企業も少なくないと思います。これらの要因としては、何が考えられるのでしょうか?

さまざまな要因があると思いますが、人々の価値観が変化しつつあることも、近年の組織コミュニケーションの難しさの原因の大きな一つだと感じています。

ーー価値観の変化が組織コミュニケーションの難しさに繋がっている?

そうです。漫画でいうと『キングダム』から『ONE PIECE(ワンピース)』的な世界観になっているんです。

軍事的世界観(例:キングダム)と冒険的世界観(例:ワンピース)の特徴の違いを、「事業」「マネジメント」「育成」「個人のキャリア」「失敗」の5つの観点からまとめた図。「事業」:(軍)競合に勝利し、シェアを奪う(冒)より良い社会の可能性を探求する。「マネジメント」:(軍)勝利のための計画の達成(冒)ビジョンに向けた地図の探索。「育成」:(軍)適者生存(冒)適者開発。「個人のキャリア」:(軍)会社にどう適応するか(冒)幸せな人生のための自己実現の探求。「失敗」:(軍)計画から外れること(冒)挑戦しないこと。
軍事的世界観(例:キングダム)と冒険的世界観(例:ワンピース)の特徴の違いをまとめた図

もともと組織には軍事的な世界観が根付いています。というのも、ビジネス自体が「敵国に勝利して、領土を奪い合う(競合に打ち勝って、市場のパイを奪う)」ことを目指しているからです。

組織の観点から説明すれば、軍隊=組織があり、指揮官=経営者・マネージャーがいて、兵士=現場メンバーがいます。そして経営者やマネージャーの号令でメンバーが指示通りに動いて、どれだけ戦いに勝てるか。漫画でいう『キングダム』の世界ですよね。実際にビジネスはその手法で発展してきました。

一方で、生き方を含めた個人のキャリア観が近年大きく変化しています。これまでは個人より会社が優先され、組織に自分をどれだけ押し込めるかというのが主流のキャリア観でした。けど今ってこういう考えの人はかなり減ってますよね。

現在、主流なのは「自分が人生の中心」というキャリア観。自分の人生の中に、家族や地域もあって、会社もその構成要素の一つでしかない。いかに自分が幸せになれるか、いかにより良く生きれるかという命題を持つ人が圧倒的に増えています。

つまりキャリアを『キングダム』的に考える人は減って、『ONE PIECE』のような冒険的世界観を持つ人が増えていると思うんです。

麦わらの一味は誰も麦わら海賊団に自分を押し込めてないですよね?海賊王になりたいとかオールブルーを見つけたいとか世界地図を作りたいとか、あくまでも自分のやりたいことが中心にある。

真剣な表情で話す安斎さん。

ーー価値観がキングダムからONE PIECEに変容しつつある?

個人の価値観はそうなんですが、組織にはキングダム的な軍事的価値観が色濃く残ったままなんですよね。こうした個人と組織の価値観のギャップに、最近のコミュニケーション課題の一因がある。そしていかに「組織側」が価値観をアップデートできるかに、その解決の糸口があると思っています。

あ、1つ大事なことを補足させてください。『キングダム』と『ONE PIECE』を例に出しましたが、これはあくまで組織論の視点で話しているだけで、作品自体を評価しているわけではありません。キングダムに関しては、最新作をずっと追っている熱心な読者ということを言わせてください(笑)

価値観をアップデートするコミュニケーションとは

ーー組織側の価値観をアップデートすることが、コミュニケーション改善に繋がるとのことですが、具体的に何が必要なのでしょう?

自著でも述べていることなんですが、「問いかけ」や「対話」といったコミュニケーションが必要だと考えています。

極端に言えば、これまでは兵士であるメンバーに個性や自分なりの考えは必要ありませんでした。「私はこう思います」「私はこうしたいです」なんて言ってる暇があったら戦えよ、四の五の言わずに働けよと。でも今はそのやり方が通用しにくくなっています。

実際にタレントマネジメントというメンバーの才能や個性を活かして、それを組織の売上や利益に繋げていくという考え方も出てきています。ただ、一人ひとりが今どう考えているのか、どう思っているのかを引き出さない限り、その才能や個性も埋もれたままです。

このような社員一人ひとりの思いを引き出すのが「問いかけ」と「対話」です。

ーー安斎さんの著書にも『問いかけの作法』がありますが、まず「問いかけ」とは一体何なのかを教えてください。

少し込み入った話になるのですが……前提として問いにはマクロの「問いのデザイン」とミクロの「問いかけ」の2つがあります。「問いのデザイン」はどこを目指すのかという話です。自分たちは何のために何に向かって何を探求していくのか?という大きな視点があります。 

そして、個人の考え・こだわりを引き出すコミュニケーション技術として「問いかけ」があります。今回はコミュニケーションがテーマなので、問いかけを中心に説明しますが、このマクロとミクロな2つの問いがあるから、冒険的世界観が成立するんです。

「問いかけ」が失敗するとき

ーー組織が一人ひとりの考えや個性を引き出していこうと「問いかけ」を工夫する中で、気をつけるべきポイントはありますか?

陥りやすいパターンがある程度決まっているので、それを避けるのが大事です。特によくあるのが、こだわりや意見を引き出そうとするんだけど、一つでもミスがあると脊髄反射的に軍人としての顔が出てしまうパターンです。

例えば部下に「今回は君に任せたいから、まず企画書を作ってきて。自分なりのこだわりも出していいよ。ただこの3つの要件は満たしてね」と企画書を依頼したとします。その翌週に部下が持ってきた企画書を見たら、要件が1つ満たされてない。

それに気づいた瞬間に、部下のこだわりを引き出す視点は消えて、「なんでこの要件守られてないの?先週の話覚えてる?」と軍人スイッチが入ってしまう。

こうなると部下は「申し訳ありません」と謝るしかなくて、もう萎縮してるから自分のこだわりを話すなんて無理なんですよね。

ーー人って萎縮すると何も話せなくなりますよね。

よく問いかけはライトのようなものだと説明するんですが、相手のどこにどう光を当てるかで相手の輝き方が変わるんです。そしてこの上司は、「計画を遂行する兵士が勝手に逸脱したぞ!」と、逸脱した部分だけにライトを当てて断罪してるんですよね。これでは、部下のこだわりや意見は引き出せないで終わってしまいます。

そうではなくて、「要件が満たされていないのは気になるんだけど、要件以上に何が大事だと考えてたのか教えてくれる?」などと聞かないといけないんです。

そうすると部下としても話しやすくなるし、上司も「じゃあこういう方法でやれば、君のこだわりも活かせるし要件も満たせるかもしれない」と互いに納得できる落とし所が見つかるかもしれないんですよね。

特に軍事的な価値観が色濃かった組織では、それまで出して良いとされていなかった個性ってなかなか出ないと思うんですよ。色々とライトを当てる場所を変えてあげないと出てこないんだけど、ついミスを見つけた瞬間にその芽を摘んでしまうのが、ありがちなエラーですね。

顎に手を当て、考えている様子の安斎さん。

ーーよく言われることですが、まずは聞くこと傾聴することが大事なんですね。他にも陥りやすいパターンはありますか?

もう一つ陥りがちなのがコントロールする道具として問いかけを利用するパターン。たとえば「最近の若手は個性とかこだわりとか言って、こっちの言うこと聞かないんだよな。でもこの問いかけを使えば満足してくれるかも」のようなケースです。

これは目の前の部下を人間じゃなく道具として捉えてるわけなんですが、これは相手も感じ取るんですよね。そうすると部下としては「うわ、この人と話しても無駄だ」となって、そこからの対話が生まれなくなります。

問いかけでは、この2つの陥りやすいパターンを避けるのが、まずは大事かなと思います。

対話と雑談・議論・討論、はすべて違う

ーー「対話」というキーワードが出たので質問です。すべての「問いかけ」は「対話」に通じていますが、問いかけが上手くできても、対話になるとイマイチ上手くいかないパターンがあると感じています。具体的に言うと、上司は対話できたと満足していても、部下は納得しないまま終わったと感じることも多そうだなと。お互いが納得できる「上手な対話のコツ」ってありますか?

まず、組織内のコミュニケーションって大きく、対話・雑談・議論・討論の4つがあります。

対話と聞くと雑談をイメージする人もいますが、明確に違います。対話は、お互いが持つ前提や意見の違いをわかり合い、そこから新しい意味づけを作り出す話し合いです。雑談は、より気軽なコミュニケーションで、ちょっとした挨拶や情報のやりとりで、お互いの印象を良くするものです。対話のように互いの価値観にまで踏み込むことはありません。

議論と討論も混同されやすいですが、議論はあるテーマについて関係者の合意形成や意思決定するための話し合いで、討論はどの立場の意見・主張が正しいかを決めるものです。

対話・雑談・議論・討論の違い

対話:お互いの前提や意見の違いをわかりあった上で新たな意味づけを作り出すもの
雑談:ちょっとした挨拶や情報のやりとりで互いの印象を良くするためのもの
議論:あるテーマについて合意形成や意思決定などの着地を決めるもの
討論:どの立場の意見や主張が正しいかを決めるもの

ーー言われてみると、この4つを明確に分けて考えていませんでした。これから対話するのか議論するのかなど明確にしてからコミュニケーションを取るとよさそうです。対話についてもう少し詳しく聞かせてください。

対話を3つのステップで説明すると、共有→理解→創造というステップになります。

1段階目は、お互いの異なる前提や価値観をオープンにして共有する。2段階目は、その異なる前提を理解し合う。そして3段階目は、理解しあった前提をもとに新しい意味づけ、共通の何かを一緒に創るというものです。

「対話」の全体像をまとめた図。共有→理解→創造の3ステップが示されている。
「対話」の3ステップをまとめた図

ーー異なる前提や価値観ってどういうことでしょうか?

人の目に見える行動とか発言というのは、その人の一部にしか過ぎません。『問いかけの作法』の中では氷山モデルを使って説明しましたが、その人が何を考えてそう言ったのか、その行動の背景には何があるのか。そういった人の根っこの部分はほとんど見えないし、想像してもわからない。

だからまずはその前提を共有して、「なんでお互いこうも考え方が違うんだろう?」「私はこう思ってるんですよね」「そういう風に考えてたんだ」とまず前提を共有しながら話し合ってくのが対話なんです。

身振り手振りを交えながら話す安斎さん。

何かを創り上げることで対話の価値が生まれる

ーーなるほど。だからまずはじめに前提をオープンにするのが大事なんですね。共有の次のステップとして理解、さらに創造があるとのことですが、言葉だけの説明になると難しいので、何か具体的なシーンを例に教えてもらえますか?

では、わかりやすくするために、会議でのマネージャーの発言にメンバーが傷ついた、やる気が下がった。マネージャーから見ても明らかに会議後の態度がよくない、不貞腐れているシーンで説明しますね。

ーーよくある光景ですね。一瞬で目に浮かびました……。

まずマネージャーがメンバーに声をかけて話を聞きます。例えばこんな具合です。

【ステップ1:共有】

・マネージャー:最近、元気ないみたいだけど何かありましたか?

・メンバー:いやなんでもないです。

・マネージャー:この間のミーティングがきっかけだと思うのですが、何か気になりましたか?

・メンバー:実はこないだの◯◯さんが言ってたプロジェクト中断の件で、自分としてはちょっと傷ついたりして納得いかなくて。

・マネージャー:なるほど。そういうことだったんですね。

これが共有です。この段階ではマネージャーは内心「え、あんなことで傷つくの?繊細すぎじゃない?」と感じてしまったとしてもいいんです。

軍事的な価値観が染み付いた組織だと「傷ついたとか関係ないでしょ」と話し合いすらされないままで終わるんですが、まずはメンバーにちゃんと目を向けましょう、話を聞きましょうというのが対話です。

ーーまずは互いに思ったことを共有して、それに対してどう思うかも一旦は自由なんですね。

はい、ここから理解していくためにお互いがちょっと努力しないといけませんが。実際にはもっと複雑ですが、例えば以下のようにお互いに理解を深めていきます。

【ステップ2:理解】

・マネージャー:(あんな一言で傷ついたのか……)すみません、私は無自覚なんですが、どこか気になりましたか?

・メンバー:もともと中断になったプロジェクトは自分が起案したもので、中断は仕方ないと思いつつ、なんだかプロジェクト自体が意味がなかったかのような言い方に聞こえて……。

・マネージャー:それは申し訳ない。ミーティングでは話してなかったけど、この件での◯◯さんの働きはとても評価していますし、実際にプロジェクトの目指していた方向性については良かったと思ってます。

・メンバー:そうだったんですね。ミーティングでは自分が否定されたように聞こえていたんですが、今の話を聞いて◯◯さんの発言の真意が理解できました。

・マネージャー:こっちも◯◯さんが元気がなかった理由がわかってよかったです。傷つけてしまってごめんなさい。話してくれてありがとう。

ここまで来るとお互いの理解度は深まってますよね。マネージャーは次から自分の発言に気をつけるようになりますし、メンバーも誰かの発言を過度に受け取りすぎないように注意できるようになります。

ただ、これで終わってしまうとかなりもったいないんです。

ーーこれでコミュニケーションとしては100点満点に思えますが、まだ続くんですね

対話の価値は最後のステップである創造にこそあります。今回の場合では、新しいミーティングのあり方について模索するとしましょう。

【ステップ3:創造】

・マネージャー:私の何気ない発言で傷ついてる人が他にもいるかもしれないから、ちょっとチームのコミュニケーションのあり方について一緒に考えてみませんか?

・メンバー:前から思ってたんですが、前提の話が抜け落ちてて、そこが気になってました。もともと上の方々の会議で決まった内容があって、それが共有されないまま進むので参加しにくいなと……。

・マネージャー:確かにそれはあったかもしれませんね。議論に入る前に、前回の振り返りと別会議で決まった内容の共有は必要ですね。私はメンバーの意見をもっと聞きたいんだけど、一人ひとりに話を振るのはどう?

・メンバー:私ももっと活発に意見を言いたい気持ちはあるのですが、振られてもすぐに意見が思い付かないことが多くて。事前に宿題を出してもらえると、じっくり意見を考えられるかもしれません。

・マネージャー:なるほど。次はそれでやってみましょうか。上手く行かなかったらやり方を変えればいいですし。

現実的にはこう簡単にはいきませんが、次回のミーティングの運用が新しくなりました。これが、対話の創造である新しい意味づけです。ここまでいけると最高ですよね。

明るい表情で話す安斎さん。

メンバーとの関係性を深める「チェックイン」

ーー最後に質問です。やや難癖をつける形になるのですが、対話はメンバーとの関係性ができていないと上手くいかない気がしてます。一方で最近はハイブリッドワークもあり、関係性の構築が難しくなっています。何か工夫できることはありますか?

以前はみんなが同じ場所で働いていたから、何気ない仕草やちょっとした表情の変化とかいろいろ見えましたよね。それをきっかけに何気ないコミュニケーションが生まれて、その結果、関係性が濃くなることが多々ありました。

ただ、働く場所が多様になることで「何気ないコミュニケーション」の機会が大きく減ってしまった。そんな中、おすすめなのが個人主語で「目的のないメッセージ」が発露できる仕組みを用意することです。

ーー目的のないメッセージを発露する仕組みとは具体的にはどんなものでしょう?

僕が経営するMIMIGURIでは、ミーティングで「チェックイン」という、ちょっとした雑談時間みたいなのを取り入れてるんですが、これが案外盛り上がるんですよね。

やり方は単純でミーティングの議事録に「わざわざ話すまでもないけど書いておきたいこと」の欄を用意して、そこに各々が近況などを好き勝手に書くんです。

それが驚くくらいネタの宝庫で、誰かがそこに書かれているものに対して、「◯◯さん引っ越したんですか?どこに?」って言い始めて、そこから話が盛り上がることがよくあります。

ーー確かに引っ越したとか話題の映画を観たなどの個人的な話題は、「はい、雑談してください!」ではなかなか出てこなさそうです。

こういうちょっとしたネタって場に共有されれば盛り上がるんですが、わざわざ自分からは話しにくいんですよね。でも、このチェックインみたいに何か言い訳や口実みたいなのがあると乗っかれる人は多いんです

チェックインは時間としては5分程度なんですが、MIMIGURIではメンバー同士の関係性の構築にかなり役立ってます。簡単に真似できますし、雑談が盛り上がらないという悩みがあるチームは取り入れてみるといいかもしれませんね。

ーなるほど、全員が同じ場所で働くという前提がなくなりつつある中では、「問いかけ」と「対話」をコミュニケーションにいかに取り込むかが大事なんだなとわかりました。お話を聞かせていただき、ありがとうございました。

笑顔の安斎さん。

取材後記

今、ハイブリッドワークが浸透し、全員が同じ場所で働くという前提が変わりつつあります。そんな中でも、個々の価値観を尊重しつつもチーム全体の共通認識を形成するには、安斎さんの提言が非常に有用だとお話を聞いて感じました。コミュニケーションに悩む方は、記事で取り上げている「問いかけ」と「対話」をぜひ試してみてください。

企画・編集・執筆:五ノ井 一平(ベイジ)、撮影:大嶋 千尋

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