使われたサイボウズ製品は?
情報共有もコミュニケーションも、これひとつで。
業務に合ったシステムを作れるクラウドサービスです。
ジーベックテクノロジー
バリ取りの自動化を支援している工業系の企業・ジーベックテクノロジー。従業員数は約50人の中小企業で、拠点は東京と愛知にありますが、社員はオフィス・自宅・出張先などさまざまな場所で働いているといいます。
そんな同社も、以前はあくまでオフィスへの出社を基本とする勤務体制でした。そこにやってきたコロナ禍。フルリモートワークを余儀なくされましたが、意外にもうまくいったとのこと。一体それはなぜなのか?
その秘密を、業務ツールの導入やハイブリッドワークを推進している本堂さん、コロナ禍中に入社した営業の山口さんにうかがいました。
目次
2023年現在、ジーベックテクノロジーの社員の働き方はさまざまです。
管理系のスタッフは週2〜3日出社が多数派。 営業系は月曜日はなるべく出社して交流し、残りは出張とテレワーク。開発系は機械を実際に操る場合は出社し、CAD(コンピューターでの製図や設計)ならテレワークなど、各自の都合で決めています。
さらに、テレワークの利点を生かして子育てをしながらも仕事を続けるママや、家族の地方転勤についていき、越した先からフルリモートで働く社員もいます。
これほどまでに働く場所に柔軟性を持たせられた秘密とは、いったい何なのでしょうか。
2020年に起きたコロナ禍でのテレワークの準備は、一般的には慌ただしく行われたイメージが強そうですが、同社の場合は意外にもすんなりと対応できたようです。
その理由は、過去におこなってきたBCP対策やママ社員が働きやすい環境づくりで、準備が進んでいた部分が大きかったから。
本堂さん
最初のきっかけは2011年の東日本大震災でした。帰宅も出社もできない経験をしたため、テレワークできる環境を整える方針を社長が発表。基幹システムや社内サーバーをオンプレミスからクラウドに移行し、2013年ごろには全データをクラウド化しました。
その後、顧客情報や社歴の長い社員の知見をデータベース化したくて、試行錯誤してkintoneを導入していたこともテレワークに活きました。
基幹システム・社内サーバーがクラウド化されていたとはいえ、コロナ禍でテレワークに突入した際には、社員自身には何の抵抗もなかったのでしょうか?
その答えは「テレワークをしていた少数派によって救われた」というものでした。
本堂さん
コロナ禍前から、諸事情がある社員のテレワークをいくつかイレギュラーで認めていたのが大きかったです。
たとえば、結婚で高知に引越すことになった社員が「辞めなきゃダメですよね?」と申し出てきました。人不足は大変困りますから「辞めていいわけないじゃん!」と思うと同時に、「今どきテレワークでも仕事はできるんじゃないかな」と考えて、やってもらったところうまくいきました。
他にも、働くママさんが結構いるので「今日は出社は無理なんです」という日に「家でも仕事がやれたっていいじゃない」ということで、彼女らにもテレワークを取り入れてもらっていました。
そうした少数派の人たちのおかげもあって、テレワークの準備はできていたので、コロナ禍になったときも「仕事はみんな家でもできるはずだから、解散!」と完全テレワークに踏み切れました。
ある意味では、環境がまだ完璧には整っていなかったタイミングで、例外的なテレワークを認めていた同社。そうして「日頃からテレワークへのチャレンジを少しずつ始めていたこと」が、コロナ禍で急に必須になったテレワークへの対応にも役立っていたことがわかります。
ハイブリッドワークへの対応は、日頃の取り組みで小さく始めることが重要な様子です。
システムや経験面でテレワークの準備はできていた同社でしたが、「最後の砦」となる業務が1つだけありました。それは業務推進部の「FAXで届く注文書の処理」。
本堂さん
最後の最後までどうにもならなかったのが「注文が FAX で入ってくること」でした。
「FAXだけは、一時しのぎならともかく日常的に在宅化するのは絶対に無理!」と諦めていた人も業務推進部の中にはいましたが、eFAXに切り替えて乗り切ることができました。
また、このときもう1つ大きかったのが、派遣社員にもパソコンを貸与して、在宅で働いてもらえるようにした部門長の判断だったそう。
本堂さん
一斉在宅になったら仕事の勝手が変わるので、これまでと受注量が同じ場合でも一人ひとりの負担感は一時的とはいえ、増えます。
オフィスなら1時間でできる処理も1.5 時間、2時間とかかるかもしれません。人不足が強烈な痛手になり得ます。
だから、「派遣社員さんが減ってしまったら仕事が回らなくなります。失えません。人員はこのままにして、テレワークできるパソコンは増やさせてください!」と、業務推進部の部門長が社長を説得していたそうです。
人材の確保・維持のためには、ITへの投資が欠かせないことがよくわかります。
同社でハイブリッドワークに役立っている主なITツールは、クラウドに置かれた社内サーバー、軽いやり取りをするチャットツール、そして顧客管理・勤怠管理など多数のデータ管理とそれに関する業務・会話を行うkintoneです。
営業の山口さんはコロナ禍の真っ最中に営業職として入社。いきなり始まったテレワークに不安はつきものですが、それを支えてくれたのがkintoneだったといいます。
山口さん
kintoneが顧客情報のデータベースになっていて、やり取りも同アプリで行えます。おかげで家にいながらお客様の情報や、それに関する社員の過去のやりとりをしっかりと確認できました。
山口さん
また、マネージャー会議の様子が話し合いのくだりから結論に至るまで、細かく書いてkintoneで公開されているので、会社の向かっている方向性が見えやすいんです。
上層部の会議は多くの会社では閉ざされた空間で行われがちだと思いますが、離れていても上層部の意向がわかりやすいのは大変助かります。
そうして入社間もない時期でも、kintoneで会社のことをしっかりと学べましたし、営業部のみなさんとのやり取りができたこともすごく安心材料としてあったなと感じています。
そのほかにもkintoneはどのように使われ、どう役立っているのでしょうか?
本堂さん
出社が基本だった頃は、カードリーダーで勤怠管理をしていましたが、コロナ禍以降はkintoneの勤怠アプリで打刻ができるようにしました。
また、出勤の打刻のついでにコメント欄で挨拶や休暇中の出来事をつぶやいてから仕事を始める方も多く、時々その内容が盛り上がっています。オフィスに出社したときのちょっとした雑談に近いイメージですね。
また、業務推進部ではオフィスと工場間の在庫確認を電話からkintoneに移したそうです。その効果とは?
本堂さん
オフィスでは誰かが電話をしていると、そのやりとりの内容がなんとなく耳に入ってきます。
たとえば品薄の情報など、「なんとなく聞こえる」という形で自然と共有されていた情報は結構多いのですが、在宅だとそうした情報がなかなか聞こえてきづらくなります。
kintoneで情報を共有すると、他の人同士のやりとりを覗くことができます。そのため、「全員が出社して電話の声がなんとなく聞こえていた頃の情報共有」を、テレワークでもオンライン上で再現できるようになりました。
工場側も同じような問合せがオフィスから繰り返し来なくなり、助かっていると聞いています。
加えて、こうして在宅勤務のために環境を整備した結果、それ以外の場所で働くメンバーも恩恵を受けたそう。
本堂さん
以前は口頭で引き継がれているような状況だった製造工場へ特殊品を発注する際のオペレーションやルールが、コロナ禍もあって社内に十分に周知ができなくなったことがありました。
そこで、正しいルールを書き起こしてkintoneに掲載、加えて実際の発注までのステップから発注後のステータスまでもオンラインで見られるようにしました。
すると、ルールの理解につながっただけでなく、外出先からも発注の状況を確認できるようになったことで、「とてもわかりやすくなった」「社内での問い合わせが減り、業務推進部のメンバーも助かった」という件がありました。
テレワークに端を発したオンラインでの情報共有によって、さまざまな立場の働くメンバーにも利点があり得ることがわかります。
このようにさまざまな用途でkintoneを利用しており、2023年時点では463個ものkintoneアプリが稼働している同社。
それぞれのkintoneアプリにおける情報共有で得られる個別の利点もありますが、そもそもkintoneというオンライン上のワークプレイスに情報やコミュニケーションを集約することで得られている、離れて働く上での価値も感じていると言います。
本堂さん
いろいろなツールを使っている会社さんだと、部署で情報の分断がおこって周りの状況が分からなくなりがちかと思いますが、うちではkintoneにいろいろな業務が集まっているので、誰が何をしているのか部署外のことまで伝わってきます。
オフィスに集まっているときのように皆の話し声が聞こえてきて、「自分は会社の一員として、今この仕事をしているんだ」とテレワーク中でも感じられたと、社員からも聞いたことがありますよ。
この「オフィスにいるような感覚」は、小さな処理から重要な業務まで、多くの仕事とコミュニケーションをkintoneで再現することで生まれていました。
全社員でkintoneを利用し、働く場所に関わらず、情報をオンラインで共有すること。その効果は「業務が滞りなく進む」ことを遥かに超えており、社員の一体感まで生み出していたのです。
コロナ禍で完全テレワークを乗り切った経験は、めぐりめぐって社員の自信にもつながりました。
本堂さん
難しいと思っていた在宅勤務を実現できた経験は、とても大きな価値があったように思います。
というのも、「無理だと思ってたけど、完全テレワークできたよね。乗り越えられたよね!」という経験が、自信につながったと言っているメンバーもいるんです。今回の成功体験は、この会社でこれから何か新しいことに踏み出すときにきっと背中を押してくれると思います。
一方で、日常を取り戻した昨今、同社の社員は「時々は出社をしてコミュニケーションを取ったほうがいい」とも考えるようになったそう。その理由を山口さんが教えてくれました。
山口さん
対面での社内コミュニケーションは取った方がいいというデータも多数あります。私はコロナ禍の間に入社したので、対面の良さは一切知らない状態からのスタートでしたが、いざ出社してみると「顔を合わせて話をするのも大事だな!」と思いました。
営業では月曜日に顔を合わせるようにしているのですが、ちょうどいい塩梅です。
最近では、出社してコミュニケーションを取ったほうが進む仕事はオフィスで、在宅のほうが捗る仕事は家で、と分けている社員も増えました。
両方体験してみて思うのは、完全テレワークよりもハイブリッドワークの方がメリットがあるということでした。
柔軟に働く場所を切り替えられることはすばらしいことですが、「社長が出社しているから、やっぱり自分ももっと出社しなくちゃと感じる」といったプレッシャーを感じるようなことは、これまでなかったのでしょうか。
本堂さん
そこは気を回したようで、社長はよくテレワークしていますよ(笑)。「社長が出社しているのに、自分が行かないわけにはいかないよね」と思われそうと、先に気づいたみたいです。
一方で「呼ばれたらすぐに行くから」とも言ってくれています。当社でテレワークが浸透したのは、こうした社長の配慮も大きいですね。
いきなり完成された「テレワーク」あるいは「ハイブリッドワーク」にチャレンジするとなると、高い壁を感じるかもしれません。
しかし、ジーベックテクノロジーが教えてくれたのは、まずは"情報のオンライン化"を小さく始めればよいということです。
BCP対策や、事情があって出社が難しくなってしまった社員へのイレギュラーな対応、あるいは外出や出張時でもスムーズに働ける環境づくりなど、「離れて働くための準備」は日頃の小さな取り組みから始められる部分が多くあることがわかります。
「テレワークやハイブリッドワークを始める」というよりは、まずは組織内の身近な問題解決に一つひとつ取り組むことが、結果としてどこでも働ける組織に近づく近道になるのかもしれません。
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サイボウズ製品が選ばれる理由をご紹介します。