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サイボウズ
テレワークに取り組み始めてから10年、サイボウズはオフィスとテレワークを自由に選択できるハイブリッドワークを積極的に推進しています。
もともとサイボウズは、育休を最大で6年取得できる制度や100人100通りの働き方を自ら申告する働き方宣言制度など、ユニークな人事制度を打ち出してきました。
ハイブリッドワークも、新たな時代にふさわしい働き方として注目しており、試行錯誤を繰り返しながら理想的な働き方の姿を探求しています。そんなサイボウズが模索し続けてきた働き方改革の道のりから、ハイブリッドワークを成功させるためのヒントをお伝えします。
目次
100人100通りの働き方を実現し、テレワークやハイブリッドワークを推進しているサイボウズ。今でこそ、働きやすい会社として注目いただく機会が増えていますが、実は最初から従業員にやさしい、ホワイトな会社ではありませんでした。
2005年頃は毎日出勤して残業もいとわないような、いわゆる“昭和的な働き方”が当たり前のように横行していた会社でした。もちろん、在宅勤務制度に代表されるテレワークは整備されておらず、毎朝満員電車に揺られて9時には全員出社することが義務化された、どこにでもある一般的な会社の1つだったのです。
しかし、当時は売上が横ばいで事業拡大が思うように進まないばかりか、離職率は28%に達してしまい、毎週メンバーの送別会が開催されるような状況でした。しかも、学生に対する知名度がないために採用活動にも苦労しており、人材確保が経営課題として大きなものとなっていたのです。
そんな経営課題を解決すべく、まずは出産をきっかけに退職してしまうメンバーに長く働いてもらえるよう、働き方改革として6年間の育休制度を策定。そして人事制度そのものを見直すなかで選択型人事制度に移行、今では新・働き方宣言制度によって100人100通りの働き方が選択できるようになっています。こうした一連の改革の結果、現在の離職率は3-5%程度にまで低下しました。まさに、採用や人材確保・維持が経営課題となったことが、サイボウズが働きやすい会社に生まれ変わるきっかけだった訳です。
そんな歴史を持つサイボウズが、ハイブリッドワークにつながるテレワークを試験的に始めたのが2010年。テレワークを導入したのは、以前から経営課題となっていた雇用機会を創出すること、そして業務効率の向上やライフ重視の支援も実現するためで、段階的に進めていきました。
そもそも試験的な取り組みとなったのは、現場から「成果の判断が難しい」「情報漏洩のリスクが上がる」「モラルが低下してしまう」といった、多くのネガティブな意見が寄せられたからです。
業務効率化の面でも「テレワークだと、結局サボってしまう」「身近にいないと新人育成できない」といった意見も。確かにオフィスで働く“成功体験”を持っている会社であれば、このような声が出てくることも当然です。
そこで、一部のメンバー延べ19人が1か月ほどテレワークを行ったうえで検証を実施。その中間報告では、一部の業務に制限は出たものの、成果物の品質は総じて低下していないという結果でした。品質に関しては、個別のケースごとにアプトプットの形を決め、それぞれの上司が〇×△で評価を実施しました。
実際のテレワークでは、一人で集中して資料作成する業務が中心だったため、アウトプット自体は大きくは変わりませんでした。参加したメンバーからは、相手の状況がすぐに分からずにストレスを感じるという意見もあり、ウェブカメラの貸出やスケジュールの共有方法の統一などテレワークをうまく進めていくための課題も明らかになったのです。
当時はテレワークでの業務終了後に勤務時間や業務内容を報告するというルールを定めていましたが、「結果報告が分かりやすい資料作成しかできない」「"考える仕事"のような結果が見えにくい業務は、あまり在宅勤務に向いていない」など、テレワークに窮屈さを感じるメンバーも。
それでも、“誰が”“何を”したいのかを重視していたため、テレワークしたいという希望があれば、実現するための方法を考えていき、見えない業務を何とか可視化しながら課題を個別に解消していきました。その結果、試験導入の期間が延長されたのです。
ただし、試験導入においてはテレワークを希望していないにもかかわらず不公平感を訴えるメンバーもいました。その意味でも、試験的に始めたテレワークは、気持ちの上でも全社員に受け入れられている訳ではありませんでした。
そんなテレワークにおいて大きな転機となったのが、2011年に発生した東日本大震災でした。交通機関の混乱や原発事故による影響などへの懸念から、出社に不安を感じる社員が続出。そのため、東京オフィスではテレワークの一時原則化を決定したのです。
実は震災発生が3月だったこともあり、経理部は決算業務の真っ最中。この決算業務はテレワークが難しいと考えられていました。そこで、会計システムなど必要な環境に自宅から安全にアクセスできるよう、情報システム部が奮起します。その結果、滞りなく決算処理を終え、予定どおりの適時開示に成功するのです。
できないとされていた業務でもテレワークで進められることが分かり、この時期を境にテレワークの本格運用が社内に定着することに。まさにハイブリッドワークに向けた、大きな転機でした。
テレワークにむけて、人事制度についても柔軟性が必要です。もともと2007年から人生のイベントにあわせて働き方をいつでも変更できる選択型人事制度を導入していましたが、テレワークの広がりにあわせて、事前に働き方を選択していなくとも、上司に申し出ることで突発的なテレワークが可能な「ウルトラワーク制度」を2013年に試験導入します。
そして、長期的に生産性が維持、向上できる働き方の検討を進めるなかで、3つの働き方が用意されていた選択型人事制度は、働きたい時間と場所を9分類のなかから選べる制度へと拡大していきます。
これらの制度を利用することで生産性を高められたという前向きな意見が多く寄せられました。メンバーそれぞれがベースとしたい働き方を柔軟に定義できるようにしてあげることが、生産性を高めることにつながることが見えてきた訳です。
ただし、ウルトラワークは自ら宣言した働き方とは異なる働き方を単発で行うもので、突発的な働き方だけに“本当に仕事をしているか分かりにくくてモヤモヤする”など不安な声も寄せられていました。そんな声があることを社内にオープンに伝えることで、テレワークするメンバーが意識的に自分の業務を可視化していくといった動きにもつながっていったのです。
突発的なウルトラワークであっても業務の可視化が進んだことで、そのルールを柔軟に変更することに。お子さんの熱などで当時突発的にテレワークしたいというケースが増えたため、当初は働く場所・時間を一時変更する場合は前日までに申請する必要がありましたが、当日でも申請可能な制度に変えたのです。
ルールの柔軟な変更によって、働く場所の一時的な変更は上司やチームと相談したうえであればほぼ自由となった訳です。
そして2018年、働き方がこれまで以上に多様化するなか、100人100通りの働き方を宣言する「新・働き方宣言制度」がスタートします。これまで9分類のなかから働き方を選択できましたが、メンバーそれぞれの働き方が9つだけでは分類できないため、制度の枠を取り払ったのです。
新・働き方宣言制度では、メンバーそれぞれの働き方を自ら自由に宣言してもらう制度です。平日の10時から19時の間会社で働くという、よくある会社の働き方を宣言している人もいれば、午前中や特定の曜日は常にテレワークする、週4日は時短で出社して1日だけはテレワークするなど、それぞれが希望する働き方を宣言してもらう訳です。
もし台風などで電車通勤が難しい場合は、ウルトラワークをすぐに宣言することで、上司の承認を得ることでオフィスでなくても自宅やカフェで働けるように。
そんな多様性のある働き方を実現する人事制度に移行できたのも、ツールなどを駆使してテレワークできる環境が整っていることはもちろん、10年の試行錯誤を経て、生産性の維持・向上に役立つテレワークをメンバー全員が認めるという風土が社内に育ってきたからこそでしょう。
その結果、オフィスや自宅など場所を問わずに働けるハイブリッドワークの環境が整うことになったのです。
こうして社内にテレワークが定着したサイボウズですが、新たな働き方への移行を余儀なくされる大きな転機がやってきます。世界的なパンデミックとなった新型コロナウイルス感染症です。このパンデミックの影響で、2020年3月には原則テレワークへと移行することになり、出社率は一気に10%前後にまで低下します。
テレワークへ移行できる環境があったものの、ここまで長期間にわたるテレワークを経験したことがなかったため、コミュニケーションに関して新たな課題も見えてきました。
その課題の1つが「みんなが何をしているのか分かりにくくなった」「話さない人が増えた」といったテレワークにおける不安です。自宅やオフィスそれぞれの場所で働いているメンバー同士がコミュニケーションする場合、電話やメールが利用されることでしょう。
しかし、電話は特定の人の時間を奪ってしまい、若手メンバーからは強制されている感じが苦手だという意見が寄せられます。また、メールでは宛先に含まれていないと情報が共有されず、みんなの状況が分からなくなってしまうという声もありました。コミュニケーションのために出社するにしても、コロナ禍においては電車での移動も避けたいところだったのです。
そこで、オフィスにいたころのように、ちょっとした雑談や気軽な相談が周りの人にできるような仕組みづくりが求められました。サイボウズでは「分報」という仕組みを取り入れています。
分報とは、シンプルに言えば社内版Twitterのようなもので、起こったできごとやその感想、ちょっとした気持ちの変化を宛先を決めずに書いていき、メンバーと共有する仕組みです。仕事の内容だけでなく、プライベートな情報まで自由に書き込めるため、分報をさっと流し読みするだけで、たとえ自宅にいてもメンバーの様子や心理状態がなんとなくわかるようになります。
書き込まれた内容を見たほかのメンバーからは、困りごとであれば解決策を教えてくれたり、落ち込んでいることがあればその気持ちに寄り添ってくれたりなど、オフィスでの雑談感覚がオンライン上で得られます。部署間を超えて交流が生まれるきっかけになるなど、ハイブリッドワークでのコミュニケーションの課題解消につながっています。
ハイブリッドワークにおいてもう1つ課題となったのが、1つの場所に集まって会議や打ち合わせ、勉強会などを行う際のコミュニケーションの形です。ウェブ会議ツールなどを使ってオンライン上で会議や勉強会を行う場合、
といったことが起こり、その場に参加しづらい、疑問が解消できないといった声が寄せられました。そこで新たに始めたのが、オンラインでのミーティング中に質問や感想、ちょっとした気づきなどを1つの場所に書き込んでいく、口頭以外で情報を集めていく「実況スレ」というものです。
新人研修で実況スレを行ったケースでは、参加している新人だけでなく、先輩や中途メンバーも含めて実況スレに書き込むことで、同期以外のメンバーとも交流できたと好評でした。また、会議や研修で受け身になりがちなメンバーでも、気づいたことや質問などを実況スレに書き込むことで、全員で学びや議論に参加できるように。
一方通行になりがちな講義なども、講師と参加者双方向でのコミュニケーションが生まれるため、オンラインの場であっても有意義な時間を作り出せるようになったのです。
ハイブリッドワークにおけるコミュニケーションの課題は、実はテレワークとオフィスにおける情報格差という課題につながっていきます。テレワークでは、電話やEメール、グループウェア、SNS、ウェブ会議などオンラインツールを中心にメンバー間で情報共有が行われます。
一方でオフィスでは、物理的な会議室でのミーティング内容や紙による情報はもちろん、何気ない雑談や顔色など、オンライン上ではやり取りの少ない情報が、意識されずに多く共有されます。そこで生まれるのが、3つの情報格差です。
サイボウズでは、この3つの情報格差を解消する取り組みを進めています。場所の格差については、あらゆる業務をオンライン化することで解消しています。宛先の格差については、Eメールのような宛先を指定するツールをやめ、分報のような宛先を指定せずに何でも気軽に書き込める仕組みを用いて解消につなげています。
そして時間の格差については、その場に参加できなかったメンバーも情報があと追いできるような非同期型の情報共有にシフトしていくことで解消しています。
テレワークとオフィスを組み合わせたハイブリッドワークは、これからの働き方において欠かせないもの。そんなハイブリッドワークを中心とした新たな働き方の環境づくりに、サイボウズはこれからも積極的に取り組んでいきます。サイボウズの歩んできた働き方改革の足跡が、ハイブリッドワーク推進の一助になればうれしいです。
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