縦割り構造の組織がハイブリッドワークをしたらどうなるか?

成功条件 03

日本の企業にはなじみのある、縦割り組織。縦割りの構造は、会社を大きく成長させていく際にはとても大切です。専門性の高い情報が部門やチームごとにノウハウとして集めやすく、専門性の高いOJTに生かせるなど、生産性を高めるうえでも大きなメリットがあります。部門やチーム間で競わせることで、会社全体の利益を高めていくこともできるでしょう。

一方で、対策なしに縦割りの構造が進み過ぎてしまうと、会社全体の一体感がなくなってしまいます。「ほかの事業部はまったく違う会社みたい」「周りのチームの情報がまったく入ってこない」なんて思ったことがある人も少なくないはずです。仕事で使うツールもバラバラで、情報を管理するうえでも非効率な部分も出てきます。

そんな縦割り組織でハイブリッドワークを行うと、どんなことが起こるのでしょうか。

縦割り組織に欠けてしまいがちな部門間の連携

HR総研が行った「社内コミュニケーションに関するアンケート2021」では、「社員間のコミュニケーション不足は業務の障害になると感じる」と回答した人は全体の7割にまで達しており、なかでも多くの人が「迅速な情報共有」や「部門間・事業所間の連携」の部分で業務に障害が出てくると回答しています。

社員間のコミュニケーション不足は業務の障害になると感じると回答した人は7割に達することがわかるグラフ。詳しくは出典先を参照

出典:HR総研:社内コミュニケーションに関するアンケート2021 結果報告

部門ごとに縦割り構造になっていると、それぞれの情報が限定的になってしまい、社内でのコミュニケーションが取りづらくなりがちです。

また、同じ取引先に対して異なる商材を扱う複数のチームが声掛けしているケースでは、せっかく商談時に聞けたおいしい情報が他チームに伝わらず、会社としてチャンスを逃してしまうこともあるかもしれません。取引先からしても、同じ会社の名刺を持った人からバラバラにアプローチされては迷惑でしょう。

できれば、部門は違えどきちんと情報を共有し、連携しながら、コミュニケーションできることが理想的です。しかし、実際にはそうなっていない企業がほとんどです。部門の上層部同士が仲良しだと他部門の情報が入ってきやすく、それが上司のスキルとして重宝されることもあるほどですから。

「プロセスがわかる情報共有」をしたい

では、どんな情報があれば、部門間の連携不足や対立回避に役立つのでしょうか。

自部門のメンバーであれば、ちょっとした雑談も含めて会話はしやすいでしょう。しかし、他部門の人には気軽に話しかけられないばかりか、仕事のなかで対立してしまう場面もあるはずです。

たとえば取引先から短納期の要請があった営業部門であれば、何とか製造部門に掛け合って、納期どおりに商品を出荷してほしいと要望するでしょう。しかし製造部門からすれば、なぜその営業のためだけに残業してまでラインを動かさないといけないのか理解に苦しむことも。

同じ会社の仲間であるはずなのに、なぜそんな連携できない状況に陥ってしまうのでしょうか。その理由は「結果・結論」しか見えてこないことが考えられます。

結論だけでは納得いかなかったものが、周辺情報やそこに至る過程を聞いて理解できたことはありませんか?

「そんな金額での受注は普通あり得ないけど、そういう経緯があるなら仕方ないな」
「本当はお客様にこういう形で届けたいけれど、開発側にもそういう事情があるなら納得できる。お客様にはなんとか説明してこよう」

だからこそ、単に結果だけを報告するのでなく、経緯までその都度しっかり情報共有できる状況を作り出すことが、縦割り組織の課題となるコミュニケーション不足の解消に役立ち、結果としてハイブリッドワークを成功に導くのです。

状況の見える化を「宛先を指定しない情報共有」で実現しよう

ハイブリッドワークにおいて組織の連携力を高めていくには、コミュニケーションツールの活用が重要です。

ただし、メールや電話のように宛先を指定して情報を発信するツールでは、他部門のメンバーに今の自分の仕事の状況や案件の進捗を、その都度わざわざ発信するのは気が引けるでしょう。受け取る側も、そこまでして他部門の状況を把握したいと思う人は少ないかもしれません。

その意味では、「宛先に指定されていないやり取りも見に行ける」「宛先を指定せずとも、日々の仕事の状況や想いが発信できる」など、SNSのようなほどよい距離感で離れたメンバーの様子を知れるツールの活用が理想的です。

たとえば、サイボウズの開発担当者は、営業部のメンバーによる案件に関する正式な記録や、開発チームに正式にエスカレーションされた公式の要望リストだけでなく、営業部のメンバーの何気ない発信も参照して、生の声にも耳を傾ける工夫を実践しています。

仕事の状況や何気ない想いを発信し、開発部と営業部を連携するメンバー

また、「横から失礼します。そういう話であれば、このように提案したほうがお互いによいと思います」など、結論が固まってしまう前に他チーム・他部署のメンバーが助言を提供することで、お客様も含めた全方位が納得できる着地点を見つけられるよう、連携することもあります。

ほかにも、サイボウズの人事担当者が新たな社内制度を設ける際には、社員から正式に上がってくるリクエストだけでなく、何気ないつぶやきも参照しながら検討を進める場合があります。

また、制度案を全社に共有したあともそれに対する感想がつぶやかれたら、制度案のブラッシュアップの参考とする場合があります。逆に、人事担当者が制度の検討で悩む様子をつぶやきという形で日頃見ていることによって、最終的な制度案に対する社員の納得感が高まるケースも少なくありません。

社内制度についてつぶやき、社員から助言をもらう人事担当者

このようにして「わざわざ誰かに宛てて送る訳ではないけれど、各部署のメンバーが結論に至るまでの経緯や思いが、日々なんとなく社内で共有されている」という状況をつくりだすことで、部署を越えた連携や相互理解は、離れて働いていても進めやすくなります。

縦割りの組織にまつわる問題は、一朝一夕に解決できる訳ではありません。それでも、他部門の状況やそこに至る経緯、想いなど、宛先を特定せずにさまざまな情報が発信できるツールがあることで、ハイブリッドワークが加速させがちな縦割り組織の問題に光を当てられるはずです。

関連:まるで社内SNS!「分報」でメンバーの状況をハイブリッドワークでも感じられるようにしよう

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