「社内で交流イベントを主催しても『その場限りの関係』で終わりがち」サイボウズの社内コミュニケーション活性化担当が見つけた、交流の仕組みづくりのコツとは
セミナー
THE HYBRID WORKでは、2022年6月3日(金)にオンラインイベント「THE HYBRID WORK JOURNEY」を開催。サイボウズのハイブリッドワークのノウハウを半日に凝縮してお伝えしました。
本記事では、その中で開催されたセッション「人事担当者、経営者必見! 離れて働く組織をバラバラにしない、サイボウズの新たな仕掛けとは?」の後編の模様をお届けします。
サイボウズのコミュニケーション促進チームのメンバーが、その名の通り力を入れている、ハイブリッドワークにおける「コミュニケーション促進」のさまざまな施策についてご紹介します。
(前編はこちら)
スピーカー
- 古谷 千紘(サイボウズ株式会社 人事本部 コミュニケーション促進チーム)
- 橋本 岳(サイボウズ株式会社 経営支援本部 情報共有支援部)
- 今井 豪人(サイボウズ株式会社 コーポレートブランディング部 ワークスタイルエバンジェリスト)
目次
コロナ禍でも206組のつながりを新しく生み出すことに成功
今井:前半のパートでは「一体感」というところをスタートにして、(スライドの)上の3つ(の項目)はなんとなく触れられたかなと思うんですけれども、まだ下3つが残っている感じです。
今井:せっかくコミュニケーション促進チームの古谷さんもいらっしゃるので、ぜひ社内の人脈構築が難しいことにも触れたいなと思うんですけれども、(その前に)橋本さん、この「社内の人脈構築が難しい」というキーワードを聞いて、何か思うことってありますでしょうか?
橋本:はい。個人的にはお酒の席だったりとかオフィスで偶然会って仲良くなる、みたいなのが少なくなった実感があります。他部署の人との偶発的な出会いっていうんですかね。そういうのがすごく減ったかなっていう印象を持っています。
今井:「偶発的な出会いが減った」っていうのは(このイベントの)事前アンケートの声でも結構いただきましたね。
こういった声がたくさん上がっているっていう状況なんですけれども、古谷さん、どう思われますか?
古谷:本当にその通りだなというふうに聞いております。
わたしの役割は、まさにこうした社内のコミュニケーションの課題をどう解決するかというところにありますので、今日はその取り組みを少しご紹介できたらと思います。
今井:ありがとうございます。それでは後半パートは古谷さんに、「お酒の席」とか「タバコ部屋」をコロナ禍で失った今、部署を越えたつながりをどうやって作り出していけばいいのか、というところをコミュニケーション促進チームの古谷さんと一緒にお話しできればなと思います。
「コミュニケーション促進チーム」だとちょっと長いので、これから先は「コミュ促」と呼ばせてもらえればと思います。
それではさっそく、コミュ促の取り組みを教えていただけますか?
古谷:代表的な取組みとしては、こちらの「全社横断ざつだん お仕事どうでしょう」というイベントの実施があります。
古谷:こちらは部署を越えてカジュアルなコミュニケーションをとることを目的に始めたものになります。
このイベントではランダムに振り分けられたメンバー同士で20分ほど気軽に雑談をしてもらっています。月にだいたい1回程度、開催しております。
今井:これ、僕も何度か参加させてもらったんですけど、本当にいろんな拠点とかいろんな部署の人が参加しているなって印象で、めちゃめちゃ楽しませてもらいました。
参加した後に僕もちょっと気になって調べたんですけれども、コミュ促のイベントを通じて、去年だけで206組もの新しいつながりが社内で生まれているそうですね?
古谷:はい、実はそうなんです。この後ご紹介するイベントなども含めまして、本当にたくさんの人が参加してくれた結果だなというふうに思っています。
今井:いまサイボウズは1000人規模(の会社)なので、それを踏まえると206組という数字がいかにすごいかっていうのがさらに伝わるかなと思います。
本当にいろんな部署とか拠点の方が参加しているなって印象なんですけれども、開催までの流れとか告知とかってどうやって行っているんでしょうか?
古谷:先ほども(経営会議の告知の話で)紹介があったんですけれども、kintoneの全社掲示の場を活用して、だいたい2週間ほど前に開催の告知を行っています。開催当日は平均して30〜40名程度の方が来てくれています。
イベントではZoomミーティングのブレイクアウト機能というものを活用しておりまして、参加者全員をワンクリックで3〜4人の部屋に振り分けまして、あとはいってらっしゃいと各部屋に送り出すような形をとっています。
今井:なるほど、まさに(スライドに)いま映し出されているような絵になるって感じなんですね。
参加しやすい交流イベント主催のコツは「会話のネタを決めて、場を設定してあげること」
今井:ただですね、個人的にちょっと思うのが、オンラインで、ましてや初対面っていうふうになると、話がはずみにくかったりするんじゃないかなっていうふうに思うんですけど、このあたり、実際どうなんでしょうか?
古谷:その通りで、一体何から話せばいいか迷うという人がたくさんいますので、このイベントでは「私、昨日こんな仕事をしていました」というトークテーマを設定しています。
これによって会話の粒度も合わせられますし、ほかの部署の具体的な仕事内容についても知ることができますので、新しい知り合いを作りつつ、他部署の業務の理解(ができる)っていうところにもつながっていると思います。
今井:なるほど。これ、僕もすごく共感しますね。初対面の人と話すのって緊張するので、個人的にあまり得意じゃないんですけど、「お仕事」っていうとっかかりやすいテーマがあると、すごく入りやすいだろうなあっていうのは僕も思います。
会話のネタって、他にあったりするんでしょうか?
古谷:こちらのスライドで紹介しております、自己紹介アプリというのが一役買っているかなと思います。
これはサイボウズに入社したタイミングで全員登録するものなんですけれども、このアプリに自分の趣味とか好きなことなどの簡単なプロフィールを入力することになっているので、このアプリを元にさらに話が広がるっていうこともたくさんあるようです。
今井:なるほど、すごくイメージが湧きますね。
最初は「仕事どうですか?」っていう話から入って、打ち解けていく中で、徐々にこうやって自己紹介アプリとか見ながら、「こういうの好きなんですね」って感じで会話が盛り上がっていくんだろうなというのがイメージできました。ありがとうございます。
今井:続いて、運営にあたっての工夫とかあればご紹介いただけますか?
古谷:はい。このようなインタラクティブなコミュニケーションが発生するイベントでは、参加する側の心理的なハードルがどうしても高くなると思います。
ですので、参加者側が何を話せばいいか緊張したり、事前に何か準備をするっていう必要なく、その身ひとつで気軽に参加できるというような工夫が重要かなと思います。先ほどのトークテーマのように事前に設定してあげたりすると、いいイベント体験につながるんじゃないかなと思っています。
あとはその人の業務の都合だったり、働き方によって参加できなかったということがないように、開催する曜日とか時間を毎回ずらして、なるべくたくさんの人に参加いただけるように工夫しています。
今井:なるほど、ありがとうございます。全社横断の雑談(イベント)がどういった流れで開催されて、具体的にどういった運営の工夫があるかっていうのがよくわかったかなと思います。
ちなみに、コミュ促はこのほかにもイベントを行っているっていうふうに聞いたんですけれども、こちらもご紹介いただいてもいいですか?
古谷:こちらの「新メンバーの自己紹介イベント」というのを開催しています。
コロナ以前は当たり前に歓迎会ですとか、挨拶の場っていうのがあったと思うんですけれども、リモートになって新しく入った人が、配属先のチーム以外にも顔を覚えてもらって、コミュニケーションのきっかけになるような機会を提供したいなと思って始めました。
今井:なるほど。先ほどの全社横断イベントはブレイクアウトルームを使って3〜4人形式っていう感じのイベントだと思うんですけど、こちらのイベントはどういった形式のものになるんでしょうか?
古谷:こちらのイベントでは、新しいメンバーに各自1枚で簡単な自己紹介スライドを用意してもらいまして、ひとり5分程度で順番に発表していく形をとっています。
先ほど橋本さんのパートでもあった「実況スレッド」というのをこのイベントでも運用していまして、イベントに参加しながら視聴者の人が同じ出身地や趣味の人を見つけてつながって盛り上がっている、っていう風景もよく見られます。
今井:このイベントは中途(入社)の人からすると、めちゃめちゃありがたいんですよね。新しく入った側の心理からすると、やっぱり自分の存在を認知してもらえるってだけでもすごく安心するかなって思うんですけれども、やっぱりリモートで入社ってなると、なかなかそういう機会もないなあと思います。
なので、企業側がこういうふうにオフィシャルな場としてあいさつの機会というのを設けてくれると、そういった悩みが少し減るんじゃないかなと思いますね。
自己紹介イベントとか、雑談のイベントとか、結構いろいろご紹介いただいたんですけれども、橋本さんは何かコミュ促のイベントに参加されたことはありますか?
橋本:雑談イベントも自己紹介イベントも実はかなり参加しています。とくに自己紹介イベントは、新しく入社された方のおもしろい趣味とか経歴を知れるので、その人の特徴とかもとても覚えやすくてしかも楽しいっていう、1度で2度おいしいみたいな、すごくいいイベントだなと思っています。
今井:なるほど、ありがとうございます。橋本さんのお話をうかがっても、それぞれのイベントがすごく盛り上がっているんだなっていうのがなんとなく伝わったかなと思います。
「そのイベント限りの関係性」にならないために、イベント後は社内SNSでフォローを促す
今井:ここでもう1個、意地悪な質問をしてみたいなというふうに思うんですけれども。イベントがすごく盛り上がるまでのイメージは湧いたんですけど、どうしてもこういうイベントって「その場限りの関係性」になっちゃうんじゃないかなというふうに思うんです。
実際、サイボウズではどうなんでしょうか?
古谷:それについては、サイボウズで分報が果たしている役割が大きいなと思っています。
イベント終了後に分報でフォローをしましょうというふうにわたしたちは推奨しておりまして、イベントが終わってからも参加者が緩やかにつながれるっていう環境になっています。
今井:なるほど、分報がここで出てくるんですね。
おそらく分報をご存知ない方もいらっしゃると思うので、簡単にぼくの方で説明したいなと思うんですけれども、一言で言うと、社内版のTwitterのようなものになります。
社員一人ひとりが個人個人でアカウントを持っていて、その中で日々の業務のこととか、プライベートのこととか所感とか、思い思いにつぶやいているっていう場所になります。
サイボウズは結構、この分報をいろんな部署でやられているっていう感じなんですよね?
古谷:そうですね。こちらのスライドにもあるように、こうやっていろんな部署で分報が運用されているので、kintone上で検索してすぐにフォローするっていうことができるんですよね。
部署を越えて気軽に繋がりにいけるっていうよさがあるかなと思います。
今井:なるほど、ありがとうございます。イベント後もどうやって関係者が緩く繋がっているかっていうのが、なんとなくイメージいただけたかなと思います。
ここでですね、ぜひ参加者の声をご紹介いただきたいのですが、お願いしてもよろしいでしょうか?
古谷:はい。イベント終了後に私たちもkintone上の感想を観測しているんですけれども、基本的には楽しかったという声が多いんですが、実際の業務に役立つ関係も作れたという声も時々目にすることがあります。
「今後の業務のタネになりそうな話が聞けました」ですとか、「今後の業務で一緒になる方と、あらかじめ顔見知りになりました」っていう声もあります。
今井:なるほど。(スライドの)下の方の「かぶぼうず」の誕生秘話とか、僕もすごく気になりますね(笑)。
古谷:さらに、もう1個具体的な例を挙げますと、全社横断雑談の場で営業のメンバーからお客様の声を聞いたメンバーがチームに持ち帰って、自チームの中でも(お客様の声を)展開していたというような業務に活きた例もあります。
今井:実際の業務に生かせるつながりが生まれているってことが、コミュ促(の活動)の1つの特長かもしれませんね。参加者の声を見ても、単なる雑談の場所で終わっていないってあたりがあらためてすごいなと思いました。
「リアルタイムで参加しなくても交流できる場所」をオンラインで充実させて、雑談不足を補う
今井:今回はハイブリッドワークという(イベント)テーマなので、古谷さんにもハイブリッドワークになってから新しく始められたこととかあれば聞いてみたいなと思います。
古谷:はい。最近はリアルタイムに開催するイベントだけではなくて、「いつでも参加できる交流の形」というのを模索しています。
こちらは「サイボウズライブラリー」と呼ばれるスペースで、本について誰でも書き込んで雑談できるスペースになっています。
古谷:指定された時間に集まらないといけないリアルタイムのイベントではなくて、このように自分のペースでできる交流の場をオンライン上に作ることで、リモートで不足しがちな雑談を補えればと思って始めています。
今井:なるほど、ありがとうございます。古谷さんの話をうかがっていると、社内コミュニケーションという分野においても、まだまだオンラインの可能性があるんだっていうのを感じますね。
古谷:本当にその通りですね。場所の制約がないというオンラインならではのメリットがとても大きいと思っていまして、イベントを開催する部屋のキャパシティ(収容人数)を気にしなくてもよくなりますし、あとはどこからでも参加できることで拠点をまたいだつながりっていうのが生まれるのもあると思います。
今井:なるほど。僕もイベントに参加させてもらったときにですね、東京にその当時いたんですけど、松山の方とそこでつながるっていうことがありました。
リアルの場だと物理的な距離あって、一緒のイベントになるってことはおそらくなかなか難しかったかなというふうに思うんですけど、物理的な制約がないからこそ、こうやってオンラインで気軽にゼロからイチの関係をつくれるみたいなすごく身をもって体感したというのがありましたね。
古谷:そうですよね。
とは言え、やっぱりリアルならではのよさとかもあるとは思います。関係性を深めるっていうときには対面の方がいいこともあるかなと思いますし。すべてをオンラインにするということではなくて、それぞれの強みを生かして、いい組織コミュニケーションっていうのを実現していければなと考えています。
「業務や施策の裏にいる”人”を知れる仕組み作り」で、社員の不安感や孤独感を軽減する
今井:ありがとうございます。後半のパートも本当に盛り沢山だったなっていう印象です。
それではですね、古谷さんにもまとめをお願いしてもよろしいでしょうか?
古谷:まず1つ目なんですけれども、オンラインでは交流の機会を各自で確保するハードルが非常に高いと思います。なので、(社員の)努力任せにするのではなくて、オフィシャルに交流の場を作って、その場に参加するだけで気軽に交流できるっていう環境作りが大事だなと感じています。
そして2つ目は、せっかく作ったつながりをその場限りにせずに業務でもぜひ活用してもらいたいので、関係性を維持していく工夫も必要だなと思っています。
最後になりますが、場所や時間という働く環境に関わらず、さまざまな人が参加してくるオンラインのメリットっていうのを生かすことで、交流の幅が以前よりも広くなって、新たな視野を得られたりとか、組織としてさらに上の一体感っていうのを味わってけたらいいんじゃないかなと思います。
今井:ありがとうございます。本日ご紹介いただいたコミュ促の取り組み、個人的にもすごく好きで、ハイブリッドワークになってからさらに進化してるなーっていう印象なので、皆さんもぜひ引き続きサイボウズのコミュ促の取り組みにご注目いただけたらなというふうに思います。
それではですね、本日の全体のまとめをわたくしからさせていただければと思います。
今井:近年の調査を見てもですね、やっぱりハイブリッドワークを実現する上で、メンタルヘルスの問題の対処というのは避けては通れない道と言えるかなと思います。
これを放置してしまうとですね、日々のパフォーマンスが下がったりとか、離職率が上がって採用コストが上がってしまったりするなどして、最終的には組織全体の生産性が下がってくることにつながると思います。
メンタルヘルスと言っても結構いろいろあると思うんですけれども、その中でもキーワードとして今回は「不安感」とか「孤独」っていうところで考えてみました。
今井:もちろん、この問題はサイボウズもまだいろいろ模索中というところであるんですけれども、今回は2つ提言として(お伝えできればと思います)。
1つは会社の方向性をオープンに共有すること。そしてもう1つはですね、他部署の人とも気軽に交流できるオフィシャルな場所を設けるっていうことをご提案したいなというふうに思います。
それぞれちょっと性質は違うんですけれども、やっぱり共通していることは「業務や施策の裏にいる”人”の存在を知れる環境や仕組み」ってすごく大事だな、というところになります。
最後に、サイボウズからのメッセージとしては、オンラインにはまだまだ可能性があるよっていうところです。
今井:オンラインは一般的に「リアルの代替手段」として捉えられてしまいがちなんですけれども、「リアルと違ったよさを引き出す存在」としてオンラインを捉えていただくと、またいろんな見方ができるかなというふうに思います。
オンラインを突き詰めた、その上で見えてくるリアルのよさっていうところをどうやってハイブリッドしていくかってところを考えると、組織全体でハイブリッドワークがより(うまく)できるようになるかなと思います。
「ファーストペンギン」になってくれる人を支援することが、オンラインの交流を加速する鍵となる
今井:それでは、セッションの内容は以上になりますので、質疑応答のパートに入っていければなと思います。
まずは……こちらについて一緒に話してみたいなと思います。
他部署の人との交流が減ってしまっている問題がある(とくに新人入社の方)
今井:「とくに新人入社の方」とありますが、僕の身の回りの友達の話を聞いてても、よくある悩みだなというふうに思います。サイボウズは実際どうですか? 新入社員との交流が減っているなという印象はあったりしますか?
橋本:わたしは結構、いろんな新入社員の方々と会えている印象ですね。
今井:それはたとえば、先ほど古谷さんの話にあった自己紹介イベントを通じてっていう感じなんですかね?
橋本:それもあるんですけど、サイボウズでは人事本部の新人受け入れ担当チームの人が、いろんな部署の人と顔合わせの場みたいなところを設定してくださったりするので、受け入れ担当の人がそういう交流の場を設定してあげるのがいいのかなって感じます。
今井:なるほど。あと僕のチームにも最近、新人のかたがよく会議に参加してくれたりっていうのも多くあるんですけど、オンライン中心になったから、会議とかにも気軽に参加できるっていうのもあるかなというふうに思います。
そういった意味で、いろんな部署をまわりやすくなった面というのも実はあるのかもなあと思ったりもしました。
このあたりも、オンラインの強みをどうやって生かしていくかっていう話かなと思うので、先ほど橋本さんからお話いただいた人事の受け入れ担当の方がいろいろ工夫するという話とも合わせて、オンラインの強さってところにも着目していただいて、何かいろいろできることがあるのかなと思ったりしました。
それでは続いて、次にこちら(の質問)にいきたいなと思います。
サイボウズさんのようにオンラインスペースを作っても、誰も書き込んでくれない気がするのですが……どういった工夫をすればいいでしょうか?
今井:これは結構よくあるご質問かなというふうに思うんですけれども。ぜひ古谷さん、ご回答あればお願いします。
古谷:これは……難しい問題だなと思います。どの会社にも好奇心が強い方がいると思うので、そういったファーストペンギンになってくれる人を大事にするようなテーマ設定が重要になるかなとは思うんですけれども。
ファーストペンギン寄りの橋本さんはどう思いますか?
橋本:そうですね……。先ほどサイボウズライブラリーというオンラインスペースの紹介があったじゃないですか。実はわたしが(スペースの設立を)提案したものだったりするんですよね。
今井:あっ、そうなんですか? それ、具体的にどういった経緯で提案されたんですかね?
橋本:オンラインとかオフラインとか関係なく、他の人の趣味とかオススメの話って聞くの楽しいので、それをオンライン上でも気軽にできないかなと思ったのが背景で、古谷さんに提案させていただきました。
今井:おもしろい。全然知らなかったです。
ちなみに今ご紹介いただいたのはサイボウズライブラリーでしたが、それ以外でもコミュ促のスペースがいろいろあるって聞いたんですけど(どうでしょうか?)
古谷:他にも2つスペースを運用しておりまして、映画とか動画について語る「サイボウズシアター」というスペースと、あと音楽について語る「サイボウズミュージック」というスペースがあります。
今井:なるほど。(全部で)3つある中で、このスペースが1番盛り上がっているなあっていうのはあったりするんですかね?
古谷:全部盛り上がってるなって印象ではあるんですけども、とくにサイボウズライブラリーが1番書き込みが多いかなと思っていて。要因としては絵本だったり語学だったり漫画といったように、本当に幅広いジャンルがあるので、社内のさまざまの属性の人が気軽に書き込めるからかなというふうには感じています。
今井:なるほど。最初、僕がライブラリー(のスペース)に行ってみたとき、ニッチな小説の話とかする場所なのかなと思ったんですけど、雑誌とかいろいろもうちょっと気軽なところから話せるって感じでしたもんね。
(僕が)見たときは育児の話とか、そういった本でも盛り上がってるなって印象でした。そういったテーマ(の設定)があれば、自分の小さな気づきを共有したいみたいな、そんな気軽な動機で書き込めていいなあっていうのは、僕も見ていて思いましたね。
橋本:もう1個(ポイントが)あるとしたら、何か火種を作ってあげるというか。オンラインスペースを作ったときに、そのオンラインスペースを作った担当者が最初に何か書き込みを始めるといいのかなって思いますね。
今井:たしかにそうですね。小さく始まって徐々に盛り上がって……という感じなので、最初は(社内コミュニケーション施策を進める人が)勇気をもって書きこむっていうのも実は大事になってくるかもしれないですね。
経営会議の議事録作成・公開は、時間がかかっても丁寧に
今井:他の質問を見ていきたいなと思うんですけど……本当にたくさん(のご質問)ありがとうございます。
詳細な議事録を残すのは大変だと思うのですが、経営会議の議事録は一人で書かれているんですか? 自動で音声を文字起こししているんですか?
今井:これは(答えられそうなのは)橋本さんですかね?
橋本:そうですね。経営会議の議事録は1人で書いています。少し大変というか、時間はもちろんかかるんですけれども、情報をオープンにする取り組みというか、経営情報を可視化するっていう点でとても大切なことだと考えているので、時間がかかっても1人で担当しています。
自動で音声の文字起こしはしていないですね。そういうツールも試したことはあったんですけど、(文字起こしの)精度がちょっと悪かったりとか、話し言葉なので(文字にすると)論理的にわかりにくいときとかあったりして。意訳するというか、わかりやすくする作業も発生したりするので、自動音声ツールは使っていません。
今井:それと関連して、こんな質問もいただいていますけども。
議事録、Zoom録画をカット編集することはありますでしょうか。
今井:インサイダー情報(の話の部分)はカット編集するとか、そういう対応はしている感じなんですかね?
橋本:もともとインサイダー情報とかプライバシー情報のところはカットして(社員の方に)お見せしようかなと思っていたんですけど、(現在は)「その日の議題にインサイダー情報やプライバシー情報が含まれる場合は、そもそも(経営会議の)録画は公開しない」っていうやり方を取っています。
カットする工数がかかってしまうから、っていうのもあるんですけど、何か間違った編集をしてしまったときに(見えてはいけないものが)見えてしまうことの方が怖いので……。なので、インサイダー情報やプライバシー情報が含まれるときは申し訳ないんですけど、テキスト(の議事録)で確認いただくようにしています。
オフラインの交流も並行して支援する
今井:ありがとうございます。まだ時間もありそうなので、ほかの質問も見ていきたいなと思うんですけれども……あっ、こちらを取り上げたいなと思います。
会社は仕事だけではなく、さまざまな人たちと仕事以外でもつながりが持てることも重要な魅力だと思います。オンラインファーストのサイボウズさんでは、そのような「仕事以外での集まり」はあるのでしょうか? オフ会的なノリで、集まるのが好きな人たちは集まっていたりするのでしょうか?
今井:これはたぶん、部活動とかそのあたり(の話)になるんですかね?
古谷:そうですね。今日のセッションではオンライン上の取り組みをメインでご紹介してきたんですけれども、もともとオフラインでの交流に対して金銭補助を出すという取り組みの1つで「部活動」という制度があります。
たとえば野球だったり、テニスだったり、オンラインゲームみたいな……何でもいいんですけど、趣味でつながって交流した場合に会社から補助が少し出る取り組みをしています。
緊急事態宣言などの制限がある中では、なかなか開催がなかったんですけれども、最近(コロナ禍の影響が)緩やかになってきましたので、活動がまた盛り上がってきているのが現状ですかね。
今井:なるほど。ちなみに橋本さんは、何部に入られてるんですか?(笑)
橋本:結構いろんな部活動に所属していまして、自分が所属する部活がどれか把握していないくらいなんですけど(笑)。1番活動させてもらっているのはフットサル部かなと思っています。
(部活動って)すごくよくて、他部署の人とか、自分が「この人と話したい」と(積極的に)思っているわけではない、共通の趣味を持った人と交流できるので、本当にいろんな部署の方と交流できますし、共通の話題もありますし、すごく楽しんで活動させてもらっています。
今井:このあたりも、古谷さんの話にあったリアルとオンラインの強みの使い分けっていうところになってきそうですね。ありがとうございます。
あと1問ぐらいいけそうな気がするので、こちらも触れたいなと思います。
雑談できるオンラインスペースを作られたとのことですが、不適切発言などは監視されているのでしょうか?
今井:僕の認識では、監視とか、事前にチェックが入るみたいなものはない認識なんですけど、それで間違いないですか?
古谷:そうですね。基本的に監視などはしていなくて、各自自由に書いているという形になっています。
不適切な発言なども今のところはなく、皆さん趣味のことなので、自由に好きなことを書いてもらいたいなというふうに思っています。
今井:ありがとうございます。「オープンな場所になると、不適切な書き込みが増えるんじゃないか」っていう不安をお持ちの方も(視聴者の)中にはいらっしゃるかなと思うんですけども、サイボウズでこういうのすごく少ないなあっていう印象です。橋本さんはどう思いますかね?
橋本:サイボウズでは少ない印象だけじゃなくて、実際に不適切発言があったとするじゃないですか。そうなったときに、他の人から「それってちょっと不適切なんじゃない?」みたいな指摘とかが始まって議論する文化がありますよね。
そういう発言があったときに、ほかの人から「それってどうなの?」「いや、こういうふうに考えてるんだよ」みたいな感じで議論が発展していって何かしらの結論が出てくるので、そういう議論が発生すること自体はいいことなのかなって思ったりします。
今井:ちゃんと対話していくってことが大事ってことなんですね。ありがとうございます。
それでは、たくさんご質問いただいて紹介できなかったところもあるんですけれども、お時間になってしまいましたので、本セッションは以上にさせていただければというふうに思います。ご清聴ありがとうございました。
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