「マネージャーは永遠の片想い」サイボウズのマネージャー陣と語る、リモートのマネジメントの難しさとそのコツ

セミナー

THE HYBRID WORKでは、2022年6月3日(金)にオンラインイベント「THE HYBRID WORK JOURNEY」を開催。サイボウズのハイブリッドワークのノウハウを半日に凝縮してお伝えしました。

本記事では、その中で開催されたセッション「離れて働くメンバーをマネジメントするって、やっぱり無理がありません? コミュニケーション、評価、育成…試行錯誤中のサイボウズのマネージャーと考えよう」の後編の模様をお届けします。

前編ではメンバーの「業務」と「メンタル」のマネジメントについて聞きました。後編ではマネージャーを務める上でもう1つ欠かせない「評価」の話や、視聴者の方たちからいただいたご質問への回答をご紹介します。

スピーカー

  • 伊藤 優香(サイボウズ株式会社 人事本部 環境デザイン部 部長)
  • 勝沢 賢一(サイボウズ株式会社 営業本部 営業人材開発部 部長)
  • 吉原 寿樹(サイボウズ株式会社 コーポレートブランディング部 新米マネージャー)

離れて働くと「プロセスの評価」が難しくなる

吉原:ここまで「仕事の状況の把握」と「メンタルの状況把握」というところをお聞きしてきたんですけども、マネージャーの仕事でもう1つ大事なものとして「評価や育成」っていうのがやっぱり避けて通れないものとしてあると思うんです。

このあたり、どうしているかお聞きしたいなと思っております。

離れて働くにあたって評価や育成の点で実践・意識していることはあります?という問いのスライド

ですが、評価や育成って会社によってもやり方が違うところもいろいろあるかなと思うので、目線を合わせる意味で、わたしからいくつか一般的な評価の基準などをご説明できればと思います。

まず、世の中的にこういう評価項目がありますよとよく言われているのは、この3つの項目です。

成果・能力・情意についてのスライド

「アウトプットはどんな具合ですか?」(成果)とか、「何ができるんですか/できないんですか?」っていう「能力」の評価だったり、あるいはそのプロセスにある協調性とか「積極的にやれてますか?」という「情意」と呼ばれる要素。

こういう項目で評価されていることが多いというふうに伺っております。

で、一応これは参考までになんですけど、サイボウズの評価の仕組みというのはこんな感じになっています。

詳細はここでは割愛しますし、ちょっと強引に当てはめてしまった部分も正直あるんですけども、まあサイボウズに関しても能力評価とか情意評価とか、あるいは成果の評価っていうのはあるんじゃないかなということで、強引にいったん当てはめたのがこちらです。

サイボウズの評価制度についてのスライド

なので、サイボウズでもなんとなくそういう項目はあるかなっていう前提でお話をできればと思うんですが、この評価項目のうちハイブリッドワークにおいては、情意の項目がとくに評価するのが難しいというふうにお聞きします。

これはなぜかというと、成果ってすでにできあがったもの……たとえばデータで送られてくるとか、あるいは能力であれば、そのアウトプットをつくれるということはその能力はあるのかなと判断がつくので、結論(成果物など)さえ見られれば簡単なんですけど。

情意というのは「そのプロセスで協力し合っていましたか?」とか、そういう過程を評価する感じになってくるので、この評価は離れて働くと難しいというふうに伺っています。

なので、今日お二人にはですね、とくにこの情意の部分をどう見てるかについてお聞きしたいなと思います。

メンバー間の振る舞いも含めて、オンライン上で見えるものを増やす意識が大切

吉原:こちらもですね、最初は伊藤さんからお話を伺いできればと思います。距離がある中での情意の見方は、こちらを挙げていただいております。

伊藤さんの距離がある中での情意の見かたについての画像

伊藤:はい、「情意」の中にもいろいろあって、なかなか難しいところもあるとは思うんですけれども、打ち合わせや1on1でのメンバーの振る舞いを見て感じ取るものはもちろんあったりします。

あとは、わたしがいない場でのやり取りとして、オンライン上でのやりとりは見ています。

これまでもしかしたらオフィス内で見えていたようなやり取りがオンライン上で交わされているのを見て、メンバーの振る舞いなどを把握していったりということは心がけています。

吉原:たとえば、これが伊藤さんのチームのメンバーのやり取りですかね?

kintone上でのメンバー同士のやりとりのスクリーンショット

伊藤:そうですね、はい。

オンライン上でメンバー同士がやり取りしているものなんですけれども、こちらは佐藤というメンバーが外出をして情報を収集してきて、「こんな発見があった!」ということを書いて、その結果、施策についてちょっと変更が必要かもねみたいなことを書いています。

その後に、その外出には同行していないんだけれども、同じ仕事を担当しているメンバーが「えっ、そうなんだ」みたいに反応していたりして、この後は一緒にそこについて検討をしていくという流れです。

わたしは、このやりとりの中に直接は入っていないんですけれども、こう少しやり取りの雰囲気を感じることができるというものです。

吉原:なるほど。オフィスで自席にいてメンバー同士がしゃべっていたら、なんとなくそれが聴こえてきたというのがまさに再現されていそうですね。ありがとうございます。

勝沢さんも同じようなやりとりをこんな感じで見たりっていう感じですかね?

kintoneでのやり取りのスライド

勝沢:そうですね。これはわたしが最近「ああ、いいな」って思ったメンバーの書き込みの例なんですけれども。

我々営業ってお客様先に行ったりだとか、お取引をさせていただいているパートナー様先に行った後って、帰った後にお礼のメールをよく送るんですよ。

会議が終わった後にお礼も言っているし、懇親会があったらその場でもたくさんコミュニケーションは取っているんですけど、次の仕事をより気持ちよくしていくためには、終わった後にやはりもう一言添えるっていうのが営業の現場ではよく行われていることだったんです。これってわりと自然にやっていたことだったんですよ。

けど、社内ではあまり行われてなかったんじゃないかなと思っていて、これはその中での1つの例だと思うんですね。

いっしょに仕事をしたメンバーに対してメンバー間でありがとうとか、こういうところ本当によかったですっていうことをあらためて書き込んでるって、もらった側はすごく一緒に仕事をしてよかったなあっていう気持ちにもなりますし、またがんばろうっていうふうに思えたりとかしますよね。

あとは、わたしはそれを横目で見させていただいているんですけれども、「ああ、なんか本当にそういういい仕事ができたんだな」っていう……「情意」の部分ですかね? まあ普段情意なんて言葉は使ったことないんですけど(笑)、情意評価の参考になるのかなと思います。

吉原:なるほど、ありがとうございます。

これ、マネージャーとしてメンバーの様子が見えるってのもありますし、もう1つメリットとしてありそうだなと個人的に思ったのは、やっぱりこういう雰囲気を見て、それでほっこりするメンバーもいそうだなって。

実際にその案件などに関わっていなかったとしても、こういうやり取りがオープンで共有されているって、価値としてすごくありそうだなあって。少しメンバー目線の話になっちゃったんですけど、そんなことを思ったりしました。

というわけで、お二人にはいろいろ話を聞いてきたんですけれども、やっぱりオンライン上で見えるものを最大限まで増やそうっていうのが、この離れて働く時代のマネジメントの1つのポイントなのかなと感じました。

オンライン上でみえるのものを最大限まで増やそうというスライド

勝沢:これです。言いたかったの。

伊藤:まさにこれですね(笑)。

吉原:これですか。よかった(笑)。

サイボウズはもともとグループウェアやkintoneをたくさん使ってオンラインで情報共有していたんですけど、離れて働くようになって、さらにオンライン上で共有するものが増えて、その結果やっぱりマネジメントもやりやすくなってきてるなというふうには感じます。

なので、やっぱりもっともっとオンライン上に見えるものをどうにか増やせないかな、というのは、わたしも来週以降考えていきたいなというふうに思いました。

「リモートならではの問題」とそれ以外の見極めを忘れてはいけない

吉原:ここまで、お二人はなんだかうまいこといっていそうだなというふうに感じたのですが、「じゃあ困ってることはもうないんですか?」っていうのをお二人にお聞きしたいです。伊藤さんはどうですか?

伊藤:困っていることはあります! あります。

ここまでわりと優等生的にお話をしてきてしまったんですけれども(笑)、やっぱりメンバーからしてみたら相談しにくくないかなとか、とは言えやっぱり見えてない業務状況ってあるんじゃないかなとか、不安になったり、関係性に悩んだりみたいなことはあります。あります!

が、ここでちょっと立ち止まってみると、これってもしかして別にリモートワークが原因ではないんじゃないかなって思うんですよ。

マネジメントのお悩み、実はリモートワークが原因ではないのかもしれないということを説明しているスライド

吉原:なるほど(苦笑)。

伊藤:そうなんですよ。

じゃあ(いまほど離れて働いていなかった)2年前を振り返って、本当に全員が気軽にわたしに相談できてたんだっけ? とか、業務状況は本当に見えてたんだっけ? っていうと、錯覚なんじゃないかなって(笑)。

なので、リモートワークであぶりだされたみたいなところはあるかもしれないんですけれども、もともと潜在的に抱えていた問題であって、リモートワークだからっていうことではないんじゃないかなっていうのが、自分でいま振り返って思うところでございます。

吉原:なーるほど。わたしはコロナ禍以降にマネージャーを始めた身なので、「(難しいことは)全部、離れて働いているせいなのかな?」って思いたくなっちゃうんですけど、そうじゃないということですよね。なんか往復ビンタを食らったような気持ちになるんですけれども(笑)。

まあ、たしかにそうですよね。ちょっと整理し直してみると、たとえばなんですけれども。

マネジメントのお悩みの本質的な理由を考えてみようのスライド

「メンバーがあまり気軽に相談してくれていないかも」というのに関しては、「もともとそういう場づくりができていなかったんじゃないか」とか。

あるいは「メンバーの業務状況が離れて見えなくなった気がするな」っていうのに関しても、「実は全員出社だったとしても見えてなかったんじゃないのか」っていうのは、あらためて考えると可能性として見えそうだなという気がします。

たとえば、こうやって席に並んでパソコンをそれぞれ見ていたとして、なんか「パソコンを触ってる = 仕事してる」って思ってましたけど、本当かってよくよく考えると……(笑)。

伊藤:その通りですね(笑)。

吉原:極端な話、(パソコンに入っている)ソリティアで遊んでいる可能性もあるかもしれない。

伊藤:それがいけないかどうかっていうのも、また分からないんですけども(笑)。でもまあ、メンバーがやっていることは分からないですね。何をしているかっていうのは分からないことが前提かなっていうのは思います。

吉原:勝沢さん、聞いてみてどうですか?

勝沢:そうですね……自分で思い当たる節もあるんですけども(笑)。

あともう1個、自分自身の業務は果たして本当に生産性高くできているのか? っていうところは正直悩んでいます。

非常にチームワークいいメンバーに支えてもらっているので、相談もしてくれるし、業務もわたしが見やすいように可視化してくれるなあって思ってはいるんですけれども、果たして自分がその場を作ったのか(そこを支援できたのか)っていうとそうじゃなかったなとか。

自分がちゃんと業務の状況などを見にいったのかな(そういう努力をできていたかな)っていうと、そうじゃない気もするんです。

やっぱりいま、僕のチームがすごくうまく回ってるのは、自立したメンバーというか、「リモートで相談がうまくできなかった。それってやっぱりよくないよね」っていうことで、その状況を変えようとしてくれるメンバーがいたりするので、やっぱりメンバーに支えられているおかげだなと思うんです。

じゃあ、どうやって自分がもっとチームに入っていけるのかっていうところは考えていかなきゃいけない……っていう自分自身の悩みは尽きないですね。

吉原:なるほど。そういう意味で言うと、働く場所とか働き方が変わるこの機会が、自分の今のマネジメントのやり方を見直す、いいきっかけなのかもしれないですね。身に染みます。ありがとうございます。

というわけで、ここの部分でわたしが学びとしたいなと思うのがこちらです。

リモートならではの問題かマネジメント本質的な問題か見極めよう

「本当にそれはリモートならではの問題なのか、実はもともとあったマネジメントの本質的な問題なのか」というのを見極めること、そして見極めた上でどうしようかなと考えていきたいと思いました。

「広く浅く」に強い非同期/オンラインツールと、「狭く深く」が得意な同期/オフラインを使い分ける

吉原:もう1つ、ここまでの話をお伺いして、わたしなりに整理してみたのがこちらなんですけれども。

後述するマネジメントに関する情報共有・コミュニケーション手段の使い分けを図で整理したスライド

もちろん、Web会議とか対面の会議とかもされていると思うんですけども、これって「狭く深く」お話できる手段だと思うんですね。密に話せる。一方で、チームの状況を「広く」把握することはできない。それこそ伊藤さんの話で、チームの人数が多ければその分いっぱい1on1をやらなきゃいけないという話があったと思うんですけど。

そこで、オンラインツール。これを使いましょうと。たとえば分報であれば、メンバーのつぶやきがざっと見えるので、これで「おや?」と思ったところは1on1で聞きにいくとか、チームの定例会議で聞くとか。分報以外でも日報でもいいですし、スケジュールを見てもいいですし。

あるいは伊藤さんの話にあった1on1アプリで、メンバーを1人挟んで「いま、どんな感じなのかな? どんな話をしてるのかな?」と広く把握した上で、必要になったら1on1で直接聞きにいくとか、そういうのを使い分けるといいのかなと。

いま、いろいろオンラインツールがある中で、こういう使い分けがありますよっていうのをちょっと覚えておくと、たとえば「うちの会社やうちのチーム、いま”広く浅く”ってほうがちょっと弱いかも。どうしようかな」という感じで、建設的な検討ができそうだなというふうに思いました。

なので結論としては、非同期・オンライン中心の「広く深く」と、同期・オフラインも活用した「狭く深く」というのを使い分けられるとよさそうだなと感じました。

非同期・オンライン中心の「広く浅く」と同期・オフラインを中心とした「狭く・深く」を使い分ける

では、最後にまとめに入らせていただきたいと思います。

まとめのスライド

まず1つは、オンライン上に見えるものを最大限まで増やそうという話ですね。離れて働いてもオンラインで見えていれば、物理的な距離はあまり関係なくなるので、もっと何かオンラインで見えるものを増やせないかな、と考えるのはすごくいいポイントだなと、わたしも来週からやっていきたいなと思いました。

2つ目が、なんとなく「問題は全部、離れて働いているからだ」って思いがちなんですけども、「実はそれって、もともとあった問題なんじゃないか?」っていう見極めをまずはやりたいなと思います。

3つ目が非同期・オンラインツールのメリットで「広く浅く把握できる」っていうところがあるので、これを定常的に活用しつつ「おや?」と思ったところとか「これちょっと心配だな」と思ったところに関しては、同期・オフラインで聞きにいくという使い分けができるとよさそうだなと感じました。

……こんなまとめでわたしの学び、合っていそうですかね?

伊藤:すばらしいなと思いました(笑)。

吉原:ありがとうございます(笑)。勝沢さん、補足とかありますか?

勝沢:まさにその通りかなというふうに思いました。

いままで我々って、メンバーがなんとなくわかってくれることってわざわざ書き残してなかったものもあったと思うんですけれども、この離れて働く時代になって、あらためてオンラインで伝えるべきことはちゃんと伝えよう、ちゃんと書き残そうと思います。

あとはもう1個コツがあるんですけど、いらないことはオープンな場所に書かないっていうのも1つあるかなと思っていて。

「それ、大丈夫かな?」って思ったときって、オフラインの会話では反射的に指摘してしまうことってあると思うんです。だけど、それをオンラインでオープンに書いてしまうと、オフラインでは見えずに済んだ指摘の様子が見えてしまって、議論に関係ないメンバーも含めてチームが不安になることもあるんだろうなと思っていて。

わたしのチームで話したのが、オープンな場所でちゃんと言うべきことは言う、そして言わなくていいことは言わない。なんてこともちょっと工夫した部分ではありました。

吉原:なるほど。言わなくていいと周りからは思うことも、たぶん本人にとっては言いたいから言おうとしてしまうのだと思うのですが、その場合はたとえば「マネージャー(の勝沢さん)との1on1で、そのモヤモヤについては話しましょうか」みたいな感じでコミュニケーションされてるんですかね?

勝沢:そうですね。

吉原:なるほど。たしかにその辺の使い分けもポイントとしておさえたいなと思いました。ありがとうございます。

相手の時間を奪ってしまう電話はあまり使わない

吉原:では、セッションの本編は以上なんですけども、ここからは質疑応答に移らせていただきたいと思います。

では、こちらの質問を見てみましょうか。

状況把握にテキストを活用されていますが、メンバー間で電話はあまりお使いにならないのでしょうか? 記録に残らない電話でのやりとりは優先度が低いのかと思いました。

吉原:電話といえば、なんとなく営業の方がよく使われていそうなイメージですが、勝沢さん、どうですか?

勝沢:メンバー間での電話は、非常に頻度としては低いですね。テキスト上のコミュニケーションが、他社さんが行われているより圧倒的に多いと思います。

電話っていうのはどうしても、自分にとっては大事な話であっても、相手の時間を等しく奪ってしまうと思うんですね。(相手の)作業を止めてしまう。

で、着信があっただけでは「これは重要な話なのか? ちょっと連絡しただけなのか?」がわかんなくて、結局その相手の時間を奪ってしまうということがあったりすると思うんです。

我々(サイボウズ)はもともと電話は少なかった会社ではあるんですが、リモート下においてはさらに減ったかなって思います。チャットとか、グループコミュニケーションは反対に増えたっていうイメージは持っています。

吉原:ありがとうございます。離れて働くようになると電話が増えたという会社の方も多そうですけど、逆に減ったんですね。

勝沢:そうですね。ただ、チャットとkintoneやグループウェアへの書き込みはかなり増えてると思います。あとはLINEですかね。チーム内の軽い会話くらいであればLINEもあります。

吉原:電話が増えなかったその分、そっちが増えたってことですね。ありがとうございます。

メンバーがオープンなオンライン上での情報共有に慣れるよう、少しずつステップアップさせていく

吉原:では、次の質問にいきましょうか。すごくたくさん頂いていますね。ありがとうございます。

……あっ、よくお聞きする質問がありますので、こちらいきましょうか。

自分から情報を開示することが苦手なメンバーはいますか? いる場合は、どのように対応していますか?

吉原:こちらは伊藤さんにお聞きしてもよろしいですか?

伊藤:はい。そういうメンバーもいますね。たとえば分報でそんなにつぶやかないという人はいます。それは本人のペースでいいのかなと思っていまして。

ただ、困ったときのSOSが出せるような状況にしておくとか、ヘルプの出し先があるっていう状況・環境は確保しておきたいなと思うので、たとえば話しやすそうなメンバーと「ちょっと話してみない?」と言って、相談ルートを作っておくとかは取り組んでいます。

あと、最近はkintone上だとみんなに見えちゃうから書き込みづらいという人のためにチャットグループを作って、「ちょっと困った」とか「頭にきた」とか、そういうときはここに取りあえず投げ込もうみたいな場所を作って、安心できる場を用意して、ちょっとずつ自己開示を試してもらうっていうことはやってます。

何かサインを出すことによるメリットみたいなのを感じられると、少し前向きに発信してみる気持ちにもなるんじゃないかなと思っています。

吉原:なるほど。チームのチャットってことは「一部の限られたメンバーにはオープン」みたいな感じですよね。

数人が見ているところからちょっとずつ……トレーニングじゃないですけど、ひとりの相手にしか届かない連絡方法じゃなくて、複数人に見てもらえる連絡方法で「こんなメリットがあるんだ」っていうのを徐々に感じてもらう。

いけそうな部分は、最終的にはkintoneとか全社でオープンになってる場所にどんどん挑戦してもらうって感じですかね?

伊藤:そうですね。

逆に「1対1のチャットが活発になっちゃってる」っていう情報が入ったら、ちょっと危ないなって思うんですよね。クローズドな場所でネガティブなほうにメンバーが行ってしまったりとか、モヤモヤが解決されないままずっと抱えっぱなしになってしまったりっていうのはあるかなと思っているので。

そういったところを察知したら……まあ察知するのって難しいんですけど(苦笑)。察知できたら、そこに信頼できる少しシニアなメンバーを参加させてみたりとか、そんな形で膠着しないような、何か改善に向かうような場を作っていきたいなとは思っています。

吉原:ありがとうございます。いろんなツールを使い分けられたり、あるいはいろんなメンバーをアサインしたりっていう話なのかなというふうに理解しました。

ハイブリッドワークは「混ぜる」だけでなく「使い分ける」のもコツの1つ

吉原:では続きまして……いろいろご質問を頂いていてものすごく迷うんですが、こちらを話してみましょう。

ハイブリッドワークでの雑談はどのようにしたらよさそうでしょうか?

吉原:なんとなく、雑談が得意そうな勝沢さんにお聞きしてもよろしいですか?

勝沢:雑談、得意ではないです。

吉原:あれ、そうなんですか?(笑)

勝沢:はい(笑)。実は自分のチームのメンバーは非常に女性が多くてですね、わたしからオンラインで1on1とかしませんかっていうのは、なんとなく抵抗があってなかなかできてないんですけど。

その中で我々も工夫していった中で言うと、先ほどのセッションの話にもあったのかな。オフラインで集まっている人とリモートで参加している人の雑談って、なかなかうまくいかないのかなと思っていて。

で、わたし自身は今年、新入社員とか新しく入ってきてくれたメンバーと「集まるんだったら、この日に集まろうよ」って言って、みんなでリアルで雑談しようっていう形でやってるんですよね。

思い切って今日はもうみんなでオフラインで仕事しよう、その上で雑談をしようっていうのは、うまくいくのかなって。

ハイブリッドワークっていろんなものを「混ぜていく」っていうところがあると思うんですが、雑談とかのコミュニケーションのときは「使い分ける」っていうのもうまくいくコツなのかなとは思いますね。

出社メンバーとリモート組で同時に雑談すると、どうしてもやっぱりリアルの場の方が盛りあがってしまって、リモート側が置き去りになってしまったりっていうのはあったりしますので。

吉原:なるほど。使い分けるところは使い分けるというか、この日は全員出社とか決めるということですね。ありがとうございます。

マネージャー同士の助け合いは「マネージャー陣チーム」で非公開に

吉原:わたし自身の興味もあるんですけど、こちらの質問にいってみましょうか。

マネージャー自身が落ち込んでいるとき、誰かに助けてほしいと思うときはどうしていますか? (マネージャー同士でもっと支え合うようなことがあってもいいのかなと思ったりします……)

吉原:これは……伊藤さんとかなんかありますか?

伊藤:いやー、孤独ですよね。マネージャーって(笑)。

わたしは人事ですし、人事本部のマネージャーということで、もう常に永遠の片思いかなと思いながらやっています。

いただいた質問を投影して選んでいる

吉原:メンバーと(片思い)?

伊藤:そうですね。メンバーに対しては永遠の片思いなんじゃないかなと思いながら、片思いを楽しんでいるんです

吉原:えーっ、すごい!(笑)

伊藤:ただ、やっぱりすごく辛いっていうときはあります。どうしても。

そういうときには、サイボウズの人事本部は本部内のほかの部のマネージャー陣と横のつながりが結構あってですね、そこで「こんな辛いことがあって」とかは、わりと風通しよく相談し合っているかなと思います。

マネージャーをチームにするっていうのは、すごく大事な考え方なんじゃないかなって思います。

吉原:それは、人事本部のマネージャーで非公開のkintoneスペースがあったり、定例会議があるとか、そういう感じなんですかね?

伊藤:そうですね。定例会議もありますし、人事って人の問題を取り扱ったりするのもあるので非公開のスペースもあります。

そういった場所で、もちろん会社全体の人事の話もするし、人事本部内のメンバーの話も相談したりっていうことはしていて、あまり1人で抱え込まないで済むような仕組みづくりっていうのは進んでいるんじゃないかなと思います。

吉原:なるほど。わたしもマネージャーとしてやっぱり大変だなと思うときはあるので、こういう取り組みが人事本部に限らずうちの社内でももっと広がればいいなと思いますし、皆さんの会社でも広がればいいなと思います。ありがとうございます。

新入社員のオンボーディングは、オフラインでのチームビルディング以外はリモート中心で進めていく

吉原:では、次の質問にいってみましょうか。

新入社員(中途・新卒ともに)に関して、業務的な教育体制をはじめ、会社のコミュニケーション体制に慣れてもらうためにどのような工夫をされていますか? 入社年数によって、リモートワークに制限を設けたり等はされているのでしょうか?

吉原:新入社員の方向けということで……勝沢さんは新入社員の方を結構見られていると思いますので、お聞きしてもよろしいですか?

勝沢:はい、営業本部の中途入社・新卒入社のメンバーと一緒に業務をしていますし、オンボーディングと言われる活動の支援をさせていただいています。

「リモートワークでいいんですよ、リモートワーク前提なんですよ」「困ったことがあって当然なんですよ、悩んで当然なんですよ」っていうメッセージを発信して、入社のスタートのところで思いっきりそのハードルを下げてあげるっていうところはさせていただいていますね。

ご質問に書いていただいているような「リモートワークに制限を設けたりする」というのとは真逆ですね。思いっきりリモートワークを前提として、まずここで心理的に安全な環境で仕事ができるようにしていきましょうと。

そこから、いま少しずつハイブリッドになってきていますが、もともとリアル出社で働いているメンバーもいたので、それはもう出社メインにしようと思えばいつでも戻せるのかなと思っています。なので、思いきりリモートワークのハードルを下げてあげるっていうところは取り組んでいますね。

そうやりつつも、新人研修のスタートのところなどはいったんオフラインでチームビルディングをした上で、その翌日くらいからですかね、思いっきりリモートワークしていくっていう形です。

吉原:なるほど、ありがとうございます。

こんな感じで本当にたくさんのご質問を頂いたんですけども、時間の都合上、こちらで以上とさせていただければと思います。伊藤さん、勝沢さんどうもありがとうございました。

伊藤・勝沢:ありがとうございました!

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